それでは、フラット35と民間ローンの違いを解説します。
1.審査基準
フラット35と民間ローンの違いは、審査基準において顕著に現れます。
民間ローンでは、返済負担率だけでなく、勤続年数や勤務形態も審査対象となり、収入の安定性が強く重視されるため、審査が通りにくいことがあります。一方で、フラット35は借り手の信用履歴や収入などには柔軟な審査が行われつつも、不動産の価値や担保価値には高い基準が設けられています。これは、「長期間、安全に住める住宅を増やしたい」という住宅金融機構の意向によるものです。
フラット35の審査基準についてはこちらからご確認ください。
申込要件
https://www.flat35.com/loan/flat35/conditions.html
【フラット35】の対象となる住宅・技術基準
https://www.flat35.com/loan/tech.html
2.金利
民間の住宅ローンでは変動金利型や固定期間選択型から返済方法を選べますが、フラット35は全期間固定金利が唯一の選択肢です。
さらに、フラット35は、頭金が1割用意できない場合は、金利が更に上昇することになります。具体的な金利の違いは、以下のようになります。
借入期間 | 15~20年 | 21~35年 |
フラット35 (頭金1割以上) | 年1.430% | 年1.910% |
フラット35 (頭金1割未満) | 年1.570% | 年2.050% |
※2023年12月適用金利
選択できる金利が固定だけなので、変動金利と比べると返済額が高くなってしまいます。フラット35の2023年12月時点での金利と民間ローン(みずほ銀行)の変動金利型と比較をしてみましょう。
| 適用金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 (諸費用は除く) |
フラット35 | 年1.910% | 88,198円 | 40,043,406円 (頭金300万円含む) |
民間ローン(みずほ銀行:ネットローン) | 年0.375% | 76,229円 | 32,016,270円 |
総返済額の差額 | - | ▲11,969円 | ▲8,027,136円 |
借入金額3,000万円・返済期間35年間
フラット35の場合、頭金を1割(300万円)用意しても毎月の返済額は民間ローンよりも毎月1万円ほど高くなります。さらに総返済額の差額は800万円となります。固定金利なので安定感はありますが、少しでも返済額をおさえたいという人には民間ローンの変動金利型の方が向いています。
3.団体信用生命保険
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害に陥った場合に、ローンの支払いが免除される保険です。
フラット35では、団体信用生命保険(団信)への加入は任意ですが、民間ローンでは団信に加入しなければ住宅ローン契約が成立しません。
高齢者や健康に不安のある方にとっては団信に加入しなくてもフラット35が利用できるという利点があります。ただし、もしもの場合に備えて生命保険でカバーすることも重要です。生活状況や健康状態に合わせて、適切な保険に加入することをおすすめします。
フラット35で加入できる団信は以下の2タイプです。
・新機構団信
・新3大疾病付機構団信
新3大疾病付機構団信は、基本プランの「新機構団信」と医療と介護の保障が加わったタイプの団信です。詳しくはこちらからご確認ください。
4.保証料
民間の住宅ローンでは保証料が無料の場合もありますが、通常は借入金額の約2%が相場とされています。さらに、審査の結果に応じて、連帯保証人などが求められることもあります。それに対し、フラット35は保証料も不要で保証人も不要です。
ちなみに、融資を受ける際の事務手数料については、金融機関ごとに異なる設定があります。フラット35と民間ローン、どちらが高いかは一概に言えません。事務手数料の相場は、借入金額の約2%程度か、あるいは3万円から30万円の範囲で設定される場合もあります。