【2022年最新】住宅ローン控除の基礎知識
今回の記事は、住宅ローン控除の基礎知識や計算方法、最大控除合計額、住宅ローン控除の適用条件について詳しく解説します。「住宅ローン控除って何?初めて聞いた!」という方にも分かりやすい内容になっておりますので、ぜひ参考にしてください。
※2022年(令和4年)3月12日時点での情報になります。住宅ローン控除の利用条件は変更が多いため、住宅購入時には国税庁のホームページ等から最新情報をご確認ください。
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[2]従来の住宅ローン控除
令和4年度税制改正されたことにより、住宅ローン控除の内容は変わりました。インターネットで住宅ローン控除について検索をすると、いろいろな内容が出てきて混乱すると思いますので、従来の住宅ローン控除についても説明します。
従来の住宅ローン控除の内容でおさえておきたいポイントは、以下のとおりです。
・控除率:1%
・住民税からの控除上限額:13.65万円 ・利用者の所得制限:年収3,000万円以下 ・控除期間:10年(2021年度は特例で13年) ・住宅ローンの限度額:4,000万円(認定住宅は5,000万円) |
これまでは適用条件を満たせば年末時点の住宅ローン残高の1%相当額を所得税から控除から控除されていました。実際に最大控除額を受けることができるケースは少ないとしても、計算上では年末のローン残高が4,000万円なら最大で毎年40万円、総額400万円の控除を受けることができたわけです。
[3]これからの住宅ローン控除
住宅ローン控除は、改正が多いので現状はどうなっているのか混乱している方も多いかと思います。2022年(令和4年)3月12日時点での情報になりますが、改正後の住宅ローン控除の内容を解説します。
1.控除率は1%→0.7%へ
2021年(令和3年)までは控除率が1%だったのに対し、2022年(令和4年)からは0.7%に引き下げられました。
この改正によって、従来は最大で年間40万円(中古は20~30万円)だった控除額が、改正後は引き下げとなったため、「改悪だ!」という意見も多い様ですが、そもそも最大控除額はローン残高以外にも納めた所得税や住民税の額などによって控除額が変わるため、毎年最大控除額が還付されるわけではありません。
さらに、購入した住宅がZEHや省エネ基準の住宅の場合、優遇が拡充されるので、従来の住宅ローン控除よりも控除額が多くなるケースもあります。
2.住民税からの控除上限額は13.65万円から9.75万円に
年末時点の住宅ローン残高の0.7%相当額を所得税から控除し、控除しきれなかった分の税金は翌年の住民税から控除される点は変わりないですが、住民税からの控除上限額は、前年課税所得の7%(最大13.65万円)から前年課税所得の5%(最大9.75万円)に引き下げられました。
3.利用者の所得制限は2,000万円以下
従来の住宅ローン控除では、「利用者の所得制限は3,000万円以下」となっていましたが、今回の改正で「2,000万円以下」に引き下げられました。
年収から給与所得控除や特定支出控除等を差し引いた所得金額が2,000万円を超える場合は、住宅ローン控除を受けることができません。
4.控除期間は13年または10年間
これまで控除期間は原則10年とされており、消費税引き上げに対する特例措置で最大13年とされていました。
今回の改正では、以下のように控除期間が定められました。
・新築住宅と買取再販住宅…13年間
買取再販住宅とは、不動産会社が買い取ってリフォームした後、再販売する中古住宅を指します。住宅ローン控除で買取再販物件として認定されるためには、新築後10年以上経過しているなどの要件を満たしていなければならないこと。
・認定住宅ではない「その他の住宅」…10年間
認定住宅などは13年間の控除期間ですが、認定住宅などではない「その他の住宅」は、2024年以降の入居から控除期間が10年間となります。
・中古住宅の控除期間…10年間
5.借入限度額は住宅の種類によって異なる
今回の改正で新築住宅のなかに認定住宅やZEH、省エネ基準が追加されました。今までは「長期優良住宅・低炭素住宅は5,000万円、それ以外は4,000万円」でしたが、改正後は住宅の種類によって借入限度額が異なります。
新築と中古、借入限度額を以下にまとめましたので参考にしてください。
【新築住宅の借入限度額】
入居年 | 認定住宅 | ZEH水準省エネ住宅 | 省エネ基準適合住宅 | その他の住宅 |
2022年~2023年 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,000万円 | 3,000万円 |
2024年~2025年 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,000万円 | 0円※ |
※2023年までに新築の建築確認がされている場合は2,000万円)
【中古住宅の借入限度額】
・認定住宅(2022年~2025年)3,000万円
・その他の住宅(2022年~2025年)2,000万円
6.購入した住宅が中古の場合
中古住宅を購入して住宅ローン控除を利用した場合の最大控除額は、改正前が200万円、改正後は140万円に縮小されました。
改正前は、中古住宅を購入して住宅ローン控除を利用するためには以下の条件を満たしている必要がありました。
・木造(非耐火建造物)は築20年以内
・耐火建造物は築25年以内
※上記の要件を満たない場合は、以下の証明書が必要でした。
・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の付保証明書
そして、改正後は昭和57(1982)年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)に統一されました。たとえば、築25年以内の中古物件でなくても、証明書不要で住宅ローン控除が利用できるようになったのです。
住宅ローン控除の適用条件 |
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住宅ローンの内容 | (1) 民間の金融機関や住宅金融支援機構から借り入れた住宅ローンであること
(2) 勤務先から借り入れた住宅ローンの場合は、金利が0.2%以上であること (3) 親族や知人からの借り入れは対象外 (4) 返済期間が10年以上であること |
住宅ローンを組む人の条件 | (1) 住宅ローンを組んで自宅を購入した人
(2) 住宅取得後6ヵ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き入居していること (3) 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下 (4) 入居した年とその前後2年ずつの計5年間に、3,000万円特別控除や買換え特例を受けていないこと |
購入する住宅の条件(新築・中古共通) | (1) 自分自身が居住する住宅であること
(2) 住宅取得の日から6ヵ月以内に居住、その年の12月31日まで継続して居住すること (3)床面積が50㎡以上(40㎡以上に緩和される条件あり)。そのうち1/2以上が専ら自分の居住用であること。 |
中古住宅の場合 | 昭和57(1982)年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)であること。 |
詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。
【新築の場合】
・認定住宅
5,000万円(借入限度額)×0.7%=35万円×13年=455万円
・ZEH水準省エネ住宅
4,500万円(借入限度額)×0.7%=31.5万円×13年=409.5万円
・省エネ基準適合住宅
4,000万円(借入限度額)×0.7%=28万円×13年=364万円
・その他の住宅
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円
【中古の場合】
・認定・ZEH・省エネ住宅
3,000万円(借入限度額)×0.7%=21万円×13年=273万円
・その他の住宅
2,000万円(借入限度額)×0.7%=14万円×13年=182万円
[6]住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要
住宅ローン控除は、所得税や住民税から減税をする制度ですから、確定申告をしないと控除は受けられません。確定申告をしないとどうなるのかというと、延滞税が加算されます。本来納める税額に加えて15%以上の負担が生じますので、確定申告は必ず行うようにしてください。
確定申告の受付期間は、原則として2月16日~3月15日までの1ヵ月間ですが、住宅ローン控除の還付申告は入居の翌年1月1日から可能です。
還付される場合は、確定申告をしてから一ヶ月後くらいに指定の口座に振り込まれます。
2.2年目以降の確定申告
自営業者など源泉徴収制度の対象外の方は、1年目と同様、確定申告の手続きが必要です。
会社員の場合は、年末調整の際に住宅ローン控除の手続きをすることが可能なので、税務署から届く書類や住宅ローンの残高証明書などの書類を会社に提出をしましょう。もし年末調整のときに書類を提出し忘れても、確定申告をすれば住宅ローン控除の申請は可能ですが、せっかく手間をかけずに減税の手続きができる年末調整ですから、忘れないように注意しましょう。
住宅ローン控除は、会社勤めの方なら初年度だけ確定申告をすれば2年目以降は会社の年末調整で手続きが済みますし、自営業の方もどのみち確定申告は必要なのですから、ひと手間加えればまとまったお金が戻ってくるのでぜひ積極的に利用して欲しい制度です。
ただし、住宅ローン控除は改正が多く、令和4年度税制改正後も、経済の情勢によっては、内容が変更される可能性がありますので、最新の情報をこまめにチェックしておきましょう。今後また変更があれば当コラムでも解説いたします。
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