『手付金払えなくてもフルローンを組めば大丈夫』には要注意。
『「頭金ゼロでも買えます」って広告に書いてあるけどホント?』
『フルで住宅ローンを組めば、手付金を用意しなくて平気?』
『そもそも頭金と手付金って何が違うの?』
『家を買う時は〇割程度は自己資金が必要って書いてあるけど、やっぱりお金は必要?』
結局のところ、自己資金は必要なのか。
結論からお伝えすると、「頭金がゼロでも買えます」は間違ってはいませんが、「フルローンを組めば自己資金無くても大丈夫」は誤りなのです。どういうことなのか?記事内で詳しく説明します。
——————–
——————–
1. マイホーム購入時にかかる費用

まずは、マイホームを購入する時にかかる費用についてご説明します。
(1)手数料・手付金など
購入の契約から、家が自分の名義になるまでにかかる費用です。
手付金 | 売買契約時に売主に支払うお金のこと。物件価格の一部を先に支払うもので、支払った分は最終的に差し引かれます。相場は物件価格の5~10%とされており、100万円程度のことが多い様です。 |
仲介手数料 | 仲介を行った不動産会社に支払う費用のこと。物件価格の3%+6万+消費税が上限とされています。売買契約時に50%を支払い、決済時に残金を支払います。(一戸建ての場合は、新築・中古ともに仲介手数料が必要。新築マンションの場合は仲介手数料不要の場合が多い) |
印紙代 | 売買契約の書面には印紙が必要で、契約の際に現金で支払います。印紙代は、物件価格が1000万円~5000万円以下の場合は、印紙代は2万円です。 |
登記費用 | 所有権の保存・移転する際に登記所へ払う費用。相場は30万円~50万円、その内、約2/3程度は司法書士への報酬となります。
※新築の際行わなければならない登記は4種類です。 1. 建物表題登記 2. 所有権移転登記 3. 所有権保存登記 4. 抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合に必要) |
ローン保証料 | 保証会社に対して支払う手数料のことです。相場は借入金額の2~3%程。 |
金融機関融資手数料 | 金融機関に支払う手数料のこと。費用は金融機関によって異なりますが、3~5万円程。 |
(2)税金
家を購入した後だけではなく、購入するときにも税金がかかります。
固定資産税
|
所有権移転日以降から固定資産税が課税されます。所有権の移転日から年末までの固定資産税(日割分)を売り主に支払います。納税額は「課税標準額(固定資産評価額)×標準税率」で算出され、3年に1度、評価額が見直されます。 |
不動産取得税 | 不動産取得税申告を終えて半年以内に納付書が届きます。「不動産取得税の納税額=取得した不動産の価格(課税標準額)×税率」の計算式で算出できます。 |
(3)住み始めるためにかかる費用
賃貸住宅と異なり、購入した家に生活に必要なものは何もありませんので、ほとんど一から揃えることになります。
家具家電の購入費 | すべて揃える場合は200万円が目安。 |
引っ越し費用 | 3LDKで30万円前後が相場。 |
(4)新築物件を購入した場合にかかる費用
新築物件では、中古物件ではかからない費用があります。
付帯工事(一戸建ての場合) | 水道工事や電気工事など家を建てる以外にかかる費用。一戸建ての場合、建物本体価格にどこまでの工事が含まれているかは会社によって異なります。別途工事費用が必要な場合もあるのでご注意ください。 |
建築確認申請費(一戸建ての場合) | 建築基準法や条例の元に建てられているのか、違法性がないかを確認するための申請費。費用は建物の大きさによって異なります。 |
修繕積立基金(新築マンションの場合) | 新築マンションを購入するときにだけかかる費用。大規模修繕に備えるための費用で、金額は20~30万円程。 |
2.手付金とは

1.で、手付金は「物件価格の一部を先に支払うもので、支払った分は最終的に差し引かれる」ということでしたね。
ここでは手付金について、もう少し詳しく見てみましょう。
手付金には「解約手付」の側面があり、これは不動産売買に伴うトラブルを回避するための仕組みと言えます。
どういうことかと言うと、民法では「買い主(=家を購入する人)」は手付金を放棄すれば売買契約を解除することができると定められており、契約締結後に購入をキャンセルした場合、手付金は返ってこないことになっています。
言い換えれば、「物件を購入する意思がしっかりある」証として支払うお金となります。
契約の申込があった場合は「売主(=家を販売する人)」は営業活動ができなくなる訳ですから、安易な気持ちで「買いたい」となったり「やっぱりやめた」となってしまっては営業活動に支障をきたしてしまいますね。
反対に売主の方にはどんな制約があるかというと、契約後に売主側からの申し出により契約を解除する場合は「受け取った手付+それと同等の額(=つまり手付金の2倍の額)」を買い主に支払わなければならないことになっています。
また気になる手付金の額ですが、通常購入する物件価格の5~10%と言われており、例えば物件価格が2,000万円であれば、「100~200万円」。4,000万円であれば、「200~400万円」といった金額になります。
3.頭金ゼロでも家は買えるが、自己資金ゼロで家は買えない

不動産の広告やチラシに「頭金ゼロで買えます」と書いてあることがありますよね。
『そもそも頭金って何?』『手付金と頭金って違うの?』という疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
ここで、「頭金」「手付金」「自己資金」の関係について説明します。
- 頭金は…【あるに越したことはないけれど、無くても家は買える】
- 頭金とは、物件価格から住宅ローンの借入額を引いた部分の金額をいいます。
手付金以外に、借入金を減らす為にさらに支払う購入代金の一部のことです。頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの借入額は少なくなりますが、無くても住宅ローンは組めますし、家は買えます。 - 自己資金(=現金)は…【絶対に必要なお金!手付金もここから払います】
- 物件価格以外に必要な諸費用などを払うためのお金です。2.で説明した手付金も上記の頭金も、この自己資金(=現金)の中からお支払い頂きます。基本的な考え方として、現在の貯金の中から生活費やお子様の学費など手元に残すべきお金を引いて、住宅購入に充ててもいいお金が自己資金となります。頭金は無くても大丈夫ですが、自己資金が無いと家が買えません(売買契約を結べない)。
まとめると・・・
頭金と自己資金の違いが分かったところで、次項では、フルローンで組み込める費用と組み込めない費用について説明します。
4.住宅ローンに組み込める費用と組めない費用
諸費用を住宅ローンに組み込むことを「フルローン」といいます。自己資金が少ない場合にとても助かりますが、実はローンに組み込めない費用もあります。
- 住宅ローンに組み込めることができる費用
- ・売買契約や建築請負契約、住宅ローンを借りる契約の際の印紙税
- ・住宅ローンを借りる際の諸費用(融資事務手数料、住宅ローン保証料)
- ・登録免許税、司法書士報
- ・火災保険料
- ・仲介手数料
- ・地盤調査費用、地盤改良費用、水道負担金(注文住宅の場合)
- ・フラット35の場合は、住宅診断費用、太陽光発電設備の工事費なども可
- 住宅ローンに組み込めることができない費用
- ・手付金
- ・不動産取得税
- ・固定資産税、都市計画税
- ・引っ越し費用、家具家電代
金融機関や条件によっても異なりますが、フルローンといっても、何から何まで貸してくれるわけではありません。
どの金融機関でも共通して、ローンに組み込めないのは、売買契約時に支払う手付金です。手付金とは、売買契約を結ぶときに買主が売主に支払うお金です。手付金の相場は特にありませんが、100万円程度かかることが一般的です。
多くの方は住宅ローンを組んで家を購入しますが、売買契約が成立してから本審査(2~3週間程度)をおこなった上で実行されます。それまでの間、売主は売買活動ができません。売主としては解約されては困るので、手付金は簡単に解約できない100万円程度に設定している場合が多いのです。
2.でもご説明したように、手付金は、売主に「この物件を買います」という意思表示のお金です。もし、同じ物件を欲しがっている人がいる場合、「自己資金がないから手付金は5万円しか払えません!」という人と「絶対にこの物件が欲しいから100万円払います!」という人がいたら、売主はどちらに物件を売るでしょうか。
説明するまでもないですよね。手付金は安いものではありせんが、家を購入する上で重要な費用です。現金で用意できなければ売買契約も結ぶも拒否される可能性があります。フルローンで組んでも、手付金は現金で必要です。
自己資金が足りない場合は、親から借りるか、貯まるまで家の購入は見送るかです。フルローンを組んだ場合、払った手付金は引渡しの日に通帳に戻るので、親から一時的に借りて後で返すという方法を取る方も多い様です。
「頭金ゼロでも家を買える」と謳っている物件でも、手付金は現金で必ず必要ですのでご注意ください。
5.フルローンは審査が厳しい?その理由は?

かつては、頭金がなければ住宅ローンが組めなかった時代がありましたが、最近では諸費用込みのフルローンを組む人も増えてきました。
ただ、金融機関も誰にでも簡単にお金を貸すわけではありません。「ちゃんとローンを返済してくれるのか」を重要視しています。
もしあなたが金融機関の住宅ローン担当者なら「自己資金ゼロです!諸費用にかけられるお金は一切ありません!」という人に、何千万というお金を貸すでしょうか。この人に貸しても大丈夫かな、と不安になりませんか。
しつこい様ですが、頭金ゼロでも住宅ローンは組めます。諸費用込みのフルローンを組むことも可能ではあります。しかし、自己資金ゼロでは家は買えません。
「銀行残高はゼロ。または貯金というよりも残高レベルのお金しかない」場合は金融機関の審査は厳しくなるでしょう。その理由は、ちゃんとローンを返せるか信用されにくいからです。審査に通ったとしても、手付金はどうしますか?手付金はフルローンに含まれません。
少し厳しい話をしましたが、「頭金ゼロでも家を買える」=「フルローンで何もかも借りて家を買う」と勘違いしている方が多いのでご理解いただけますと幸いです。
6. 結局のところ、いくら用意しておけば安心?

自己資金、自己資金というけれど、一体いくらあればいいの!?と不安な方も多いでしょう。
結局のところ、家を買う時はいくらお金を用意しておけば良いのでしょうか。当社では以下のように考えています。
・安心なのは…300万円~400万円
諸費用(250~300万円用意するとして)+手付金100万円
・厳しければ…200万円~300万円
諸費用(200万円として)+手付金100万円
・最低限これだけは必要!…150万円
引っ越し費用や印紙代など現金で必要な費用(50万円)+手付金100万円
『意外とかかるな…』と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、家を買うと決めた時は、最低限100~150万円程度の支出は覚悟が必要です。
7. まとめ
「頭金ゼロでも家を買える」は嘘ではない!けれど…
自己資金ゼロでは家は買えません。今回の記事で説明した内容をざっくりとまとめると…
・頭金ゼロでも住宅ローンは組めるが、自己資金ゼロでは家は買えない
・手付金100万円は現金で必要。フルローンには組み込めない!
・フルローンは、審査が厳しくなる可能性がある
・家を買う時は、最低限100~150万円程度は必要
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
頭金ゼロ・貯金ゼロでも家を買いたい!!