建売住宅の基礎知識と購入時の注意点
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【目次】
2.建売住宅のデメリット
この記事では、建売住宅に関する基本的な知識と、建売住宅を購入する際に留意すべき重要なポイントについて詳しく説明します。建売住宅に興味がある方や購入を検討している方はぜひご一読ください。
[1] 建売住宅の基礎知識
まずは、建売住宅とはどのような住宅なのか説明します。
1.建売住宅とは
建売住宅とは、不動産会社や建築会社があらかじめ土地を取得し、特定の設計やプランに基づいて建築した新築住宅のことを指します。簡単に言うと、土地と住宅がセットで販売されている一軒家です。
建売住宅は、大規模な土地を区画に分け、同時に複数の住宅を建てます。これにより、人件費や建材のコストを抑えつつ、販売価格を比較的リーズナブルに設定できます。
2.建売住宅の販売方法
従来、建売住宅とは完成した物件を販売するものですが、実は建売住宅の販売方法は多岐にわたり、その多様性が近年増しています。
建売住宅の販売方法は、主に以下のようなものがあります。
・建物が完成してから売る
完成物件を見て、購入希望者が買うかどうかを検討する方法です。ただ、売主が最初から完成後に販売を予定しているケースは稀で、実際には、建物が完成する前から販売活動が開始されていることが一般的です。
・建物が完成する前に売る
現在の建売住宅の多くは、建設が始まる段階で販売がスタートし、工事が着工する前に契約を締結する方法です。この方法では、購入者が確定する前に建物の設計と建築が進行します。購入希望者は建設途中の建物を見学し、購入の可否を検討します。
・買主の希望に応じて多少のプラン変更ができる
着工前または建設中に、買主の要望に合わせて一部のプラン変更ができる方法です。ただし、変更できる範囲は物件や建売業者によって異なりますので、具体的な要望は売主と相談が必要です。
・建築条件付き土地の売買+建築工事請負
この販売方法は、建売住宅の典型的な契約形態とは異なります。土地の売買契約を先に行い、その後建物については別途建築工事請負契約を締結します。この取引は、買主が後でトラブルに巻き込まれることが多いので注意が必要です。
3.建売住宅と注文住宅との比較
注文住宅と建売住宅の違いを簡単に言うと、注文住宅はオーダーメイドで、建売住宅は既製品。
注文住宅は、価格は高いですが、理想の場所に建物を建て、建築会社や間取りなどを完全にカスタマイズできます。一方、建売住宅は土地と建物がセットで提供され、あらかじめ設計が決まっているため、自由度は制約されますが、価格は比較的明瞭で、注文住宅に比べてリーズナブルです。
《注文住宅の特徴》
○家づくりの自由度が高い
○建売住宅よりも価格が高い
○完成までの期間が長い
《建売住宅の特徴》
○家づくりの自由度は低い
○注文住宅より物件価格が安い
○契約から入居までが早い
[2] 建売住宅のメリットデメリット

Advantages and disadvantages
次に、建売住宅のメリットデメリットをみていきましょう。
1.建売住宅のメリット
建売住宅の一番のメリットは、価格と入居までのスピード感です。
・注文住宅より物件価格が安い
・「土地+建物」の合計した価格なので分かりやすい
・グレードが高い建売住宅も存在する
・完成済の物件を見て購入を検討できる
・契約から入居までが早い
建売住宅は、住宅の予算が限られている方や即時の入居を希望する方にとって、メリットが多い住宅です。「土地+建物」の合計で価格が提示されるため、購入者にとって価格がわかりやすく、注文住宅のように何度も打ち合わせをする必要もありません。価格が安いので住宅としてのグレードが低いと思われがちですが、土地代や人件費を抑えた分、住宅のグレードが高い建売住宅も多く存在します。
2.建売住宅のデメリット
建売住宅の大きなデメリットは、家づくりの自由度が低いことが挙げられます。
・自分好みの家は建てられない
・同じような外観が並ぶため、没個性になりやすい
・建築過程を見ることができない
建売住宅は、同じデザインや外観の建物が並ぶことが多いため、個性や独自性を表現しにくいことがあります。また、注文住宅のように家づくりのプロセスを逐一見守ることは難しく、既製品の中から選ぶ感覚が強い住宅です。過程を確認できないことが不安と感じる方には不向きかもしれません。
[3] 建売住宅に向いている方
注文住宅か建売住宅か迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、建売住宅に向いている方を説明します。「こういう方は絶対に建売住宅に向いている!」というわけではありませんが、参考程度にお考えください。
以下は、建売住宅に適している方の特徴です。
・手間をかけずにマイホームを手に入れたい方
建売住宅は土地と住宅を一括で購入でき、間取りや内装などが事前に決められているため、手続きが簡略化されています。住宅選びが手間だと感じる方にぴったりです。
・早く家を買いたい方
完成済みの建売住宅は、住宅ローンの手続きがスムーズに進行し、入居までの期間が比較的短いです。急いで新しい生活を始めたい人に適しています。一部の建売住宅ではモデルルームで使用した家具がそのまま提供されることもあるため、即座に生活を始めたい方にとって理想的です。
・間取りやデザインに強いこだわりがない方
建売住宅は通常、一般的な間取りやデザインが採用されています。特別な要望や強いこだわりがない場合、人気のあるコンセプトに合致する建売住宅で理想の住まいを見つけることができるでしょう。
[4] 建売住宅を購入するときの注意点

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最後に、建売住宅を購入するときの注意点を説明します。
1.物件価格に含まれている内容を確認する
建売住宅を購入する際には、物件価格に含まれている範囲を確認することが重要です。
建売住宅は一般的に物件価格を抑えて提供されていますが、同時に様々なオプションが存在し、これらは別途費用がかかることがあります。具体的な例を挙げると、
網戸
カーテン
カーテンレール
テレビアンテナ
照明器具、エアコン
さらに、物件によっては以下のようなアイテムもオプション扱いとなっていることがあります。
収納内部の棚
ハンガーパイプ
これらのアイテムを揃えるためには追加の費用が発生する可能性があります。したがって、購入前には物件価格に含まれているものと、別途必要なオプションについて十分な確認を行い、追加費用を事前に予測しておくことが重要です。
2.周辺環境も重視する
建売住宅を検討する際、建物の品質に焦点を当てがちですが、周辺環境も重要です。
住んでみないとわからない周辺の雰囲気や生活便利さは、後々の生活に大きな影響を与える可能性があります。物件見学では、通常不動産会社が送迎を提供するため、車窓からの印象が先行し、周辺を見落としやすいです。必ず自分の足で最寄り駅から実際に歩いてみてください。
物件見学時に確認すべきポイントは以下のとおりです。
【生活に必要な施設の有無】
・買い物:スーパー、コンビニ、ドラッグストア、商店街
・医療施設:病院、薬局
・公共施設:銀行、郵便局、役所、学校、保育園、塾
【交通環境の確認】
・公共交通機関:最寄り駅までの距離、電車やバスの本数、始発・終電時間
・道路状況:幹線道路までの距離、渋滞状況、自宅前の道路状況など
【治安の確認】
・公園や子供が安全に遊べる場所の有無
・近隣に治安が心配になる施設ないか(パチンコ店、ゲームセンター、風俗店など)
・暴力団が集まる場所、犯罪が多発するエリアではないか
・ひったくりや泥棒など頻繁に起こる場所ではないか
3.未完成物件の引き渡しは避ける
できれば未完成の住宅の引き渡しは避けたいところですが、最近は早い段階で売り切れるケースも多いです。
未完成物件を購入する際、最も心配されるのは支払った後の倒産ですが、実際によくある問題は倒産ではなく、急に対応が悪化することです。補修が必要な点を指摘しても言い逃れが続き対応が得られなくなったり、質問しても返答が遅れたりするケースもあるようです。
未完成の建売住宅を契約する際のトラブルに関して以下のような点が挙げられます。
1.駐車場、庭、外構
2.部屋の広さや寸法
3.天井高(母屋下がり)
4.床下収納や点検口がない
5.水回り設備
6.床材、扉
7.外壁や屋根
8.標準工事以外にかかるオプション工事
完成物件であればこれらの建物仕様を現地で確認できますが、未完成物件の場合、これらの点を仕様書、パンフレット、平面図、立面図、配置図などを元に確認しなければなりません。次項でそのポイントを説明します。
4.未完成物件で確認すべきポイント
未完成物件を購入する際には、仕様書、パンフレット、平面図、立面図、配置図などを確認しておきましょう。
・仕様書やパンフレットで確認すべきポイント
外壁、フローリング、ドア、サッシ、水回り設備などの設備仕様や色を仕様書やパンフレットで確認します。
・平面図や立面図で確認すべきポイント
建築確認申請図面にある平面図(間取り図)と立面図(外観図)を確認します。平面図には、室内の正確な寸法がミリ単位で記載されています(壁芯寸法)。立面図は窓の大きさなどを確認しましょう。北側斜線制限や高度地区による天井の形状も図面で確認できます。
・配置図で確認すべきポイント
建築確認申請図にある配置図は、敷地内の寸法や建物の位置を示す図面です。平面図と同様に、配置図もミリ単位で寸法が記載されており、エアコンの室外機の設置などに役立ちます。また、駐車場の幅なども配置図を見て確認できます。
・電気配線図、給排水管図、外構図
多くの建売住宅では、電気配線図、給排水管図、外構図などは提供されないことが一般的です。これらの工事は現場の状況に応じて変更されることがあるため、図面と現況に相違が生じる可能性があります。特に重要な工事に関しては、図面を添付しないことを方針にしている不動産会社もあるため、注意が必要です。
未完成の建売住宅を購入する際は、以上のポイントを確認して、契約前に納得のいく取引を行うようにしましょう。
5.引渡し前の立会いは念入りに
引き渡し前の立合いは念入りに行いましょう。ここで不具合を見逃すと、後々のトラブルにつながりかねません。立合いの日程は、余裕をもって引き渡し日の10日以上前にしておくことをおすすめします。
立合い時に確認すべき主要なポイントは以下のとおりです。
・図面通りに仕上がっているか?
収納のサイズ、扉の開き、コンセントの位置など、建物が図面通りに仕上がっているかどうかを確認しましょう。
・施工の精度に不具合はないか?
床の傾き、壁紙、設備など、施工の精度に問題がないかを検証します。細かな不備も見落とさずに確認し、必要に応じて修正を要求しましょう。
・ドア、窓、収納の扉などの開閉はスムーズか?
ドア、窓、収納の扉などがスムーズに開閉できるか、実際に操作して確認します。さらに、手すりやクローゼットのハンガーなどがしっかり固定されているかも確認しましょう。
自己チェックに自信のない方や、確実な点検を望む方は専門家の同席を検討することも選択肢のひとつです。一定の費用はかかりますが、不安な方は検討してみてください。
この記事では、建売住宅についての基本情報を詳しく解説しました。建売住宅に関する基礎的な知識を手に入れて、将来の住宅選びに備えましょう。
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