売主が引渡しまでに済ませておくこと【当日の流れや必要書類も解説します】
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【目次】
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売買契約が終わったら、いよいよお引き渡しに進んでいきます。引渡しの内容は主に住宅ローンの実行と残金の支払いになりますが、売主や買主が準備する書類も多く、不備があると引渡しができません。早め早めの準備を心がけておくことが大切です。
当記事では、引渡し日の流れや必要書類、売主が引渡しまでに済ませておくことを解説しています。
[1] 引渡しとは
引渡しと決済は同日に行われるため、当日の流れ自体を「引渡し」とも「決済」とも呼ばれます。
・引渡し
買主が売主に売買代金を支払い、売主は売買代金の受領と引換えに買主に物件を引き渡します。引渡すといっても、当日は家の鍵や書類の受け渡しを行います。
・決済
買主が売主に売買代金(手付金を引いた残代金)を支払います。住宅ローンを利用する場合は、指定口座に入金されます。
引渡し日は、売買代金の受理、物件の引渡し、諸費用(仲介手数料や登記費用など)の支払い、この3つを行います。
[2] 引渡し日の流れ
引渡しが行われるタイミングは売買契約の2週間~2ヶ月後。場所は買主が住宅ローンを実行する金融機関で平日の午前中に行うことが一般的です。
当日の流れは以下のとおりです。
1.本人確認と書類確認
司法書士による本人確認と書類確認を行ないます。免許証を持っていない場合は住民票などの本人確認ができる書類が必要です。書類に不備があると手続きができません。
2.登記関係書類の作成
売主は売買代金の受領と引換えに買主に物件を引き渡しますが、同時に所有権移転登記や抵当権の抹消・登記の設定などの手続きも行います。
売主が住宅ローンを利用している場合は抵当権の抹消登記、買主が住宅ローンを利用する場合は抵当権の設定登記を行ないます。
3.買主が住宅ローンを実行し、代金の支払い
登記関係書類の作成が終わったら、買主の住宅ローン実行です。流れとしましては、金融機関が住宅ローン実行後、買主の銀行口座から必要な金額を出金し、売主に残代金を支払います。売主の口座に入金するための伝票はあらかじめ用意されているので、買主は伝票に記名押印するだけです。着金が確認できたら、仲介手数料や登記費用を支払います。
売主と買主がそれぞれ支払う費用は以下にまとめました。
【売り主が支払う費用】
・住宅ローンの一括返済費用(金融機関へ)
・登記費用(司法書士へ)
・仲介手数料(不動産会社へ)
【買い主が支払う費用】
・残代金(売り主へ)
・固定資産税分担金(売り主へ)
・登記費用(司法書士へ)
・仲介手数料(売主へ)
売主は不動産会社へ、買主は売主へ仲介手数料を支払います。仲介手数料は売買価格に応じて以下のように上限額が定められています。
200万円以上300万円未満…5% + 消費税
300万円以上400万円未満…4% + 2万円 + 消費税
400万円以上…3% + 6万円 + 消費税
4.所有権の移転と抵当権の設定
物件の所有権が売主から買主に移転します。売主の住宅ローンに残債がある場合、物件には抵当権が設定されているため、売主は着金確認後、抵当権抹消手続きを行ないます。司法書士の報酬については、抵当権抹消に対する報酬は売主が負担し、所有権移転に対する報酬は買主が負担することが多いです。どちらが負担するかは、売買契約締結時に決定します。
5.引渡し
引渡しといっても物件そのものは動かすことができないので、鍵と関連書類の引き渡しを行います。具体的に渡すものは以下のとおりです。
物件の鍵
新築時の図面一式
設備のパンフレットや説明書
建築確認通知書
(マンションの場合)組合規約
[3] 売主が引渡しまでに済ませておくこと
売主の方が引渡しまでに済ませておくことは主に3つあります。
抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済して金融機関から必要な書類を受け取り、司法書士に依頼して抵当権の抹消手続をします。
抵当権抹消の準備として行うことは、まずは金融機関に残債額の確認をし、不動産会社に引渡し日の日程調整を代行してもらいます。
次に行わなければならないのが、所有権の移転登記の準備です。所有権の移転登記とは、土地や建物を購入したときに、その所有権が売主から買主に移ったことを明確にするために行う登記です。登記申請は司法書士に委任しますが、必要書類は自分で用意しておかなければなりません。司法書士や不動産会社に必要書類を確認して、当日不備のないように注意しましょう。
2.物件の状態や境界の確認
物件の状態や形状、間取り、付帯設備の有無などが契約内容と異なる点がないか、売主と買主、不動産会社が立ち会って現地確認を行います。
一戸建ての場合、注意しなければならないのが隣地の所有者との境界です。現地確認の際には、売主と不動産会社だけではなく、隣地の所有者にも立ち会ってもらうことをおすすめします。境界のことで隣地とトラブルになった場合、引き渡しができず、債務不履行で損害賠償を請求されるという可能性があります。不安な方は、土地家屋調査士に測量を依頼してもよいでしょう。
3.物件の退去・解体
引き渡しまでに買主に引き渡せる状態にします。売却する住宅から不要なものを撤去することはもちろんですが、更地にして引き渡す場合は解体も必要です。
解体には費用と時間がかかるので、引き渡し日から逆算して解体日を設定しましょう。解体費用は売主と買主のどちらが負担することになります。
[4] 引渡し日に用意しておく書類
基本的にはご紹介した書類が必要となりますが、取引によっては書類の内容が異なる場合もあります。必ず不動産会社や司法書士に確認してください。
1.売主が用意しておく書類
売主が用意しておく書類は以下のとおりです。
・実印
・顔写真付きの身分証
・権利証(登記済証もしくは登記識別情報)
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
・固定資産税評価証明書(もしくは公課証明書)
・買主に引き渡す書類(鍵、パンフレット、管理規約など)
・着金を確認できるもの(通帳・キャッシュカードなど)
・各業者に支払うための現金(買主からの残代金で支払う場合は不要)
・抵当権抹消書類(抵当権が設定されている場合)
・前住所が分かる住民票(登記されている住所と現住所が違う場合)
2.買主が用意しておく書類
買主が用意しておく書類は以下のとおりです。
・預金通帳(ない場合はキャッシュカード)
・現金(必要な場合のみ)
・住民票(必要な場合のみ)
・印鑑証明書(必要な場合のみ)
・実印(必要な場合のみ)
・金融機関への届印
・顔写真付きの身分証
[5] まとめ
今回の記事は、引き渡しの流れや当日までに済ませておくことを解説しました。売主は買主よりも必要書類も多いですし、物件の退去準備なども進めておかなければなりません。不備があると買主にも不動産会社にも迷惑がかかってしまいます。引渡し日から逆算をして、早めの準備とスケジュール調整をしてくださいね。