仲介手数料の仕組みや計算方法
不動産売買のときに発生する仲介手数料。決して安くはない金額なので、安く抑えたいと考えている人も多いでしょう。そもそもなぜあんなに高いのか?仲介手数料を取る会社と無料の会社があるのはなぜなのか?
本記事では仲介手数料の仕組みや計算方法などの基礎知識などを解説しています。
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【目次】
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1. 仲介手数料の仕組み
不動産会社は物件を売買するときに、売主と買主の両方から仲介手数料をもらいます。4,000万円の物件なら、138万6千円の仲介手数料を売主と買主からもらうことができる計算です。売主が不動産会社の場合は、仲介する必要がないので仲介手数料はかかりません。
高い!と思いますよね。確かに安くはありません。しかし、仲介手数料は不動産会社にとって大事な収入源なのです。数万円では経営が成り立ちません。
そもそも、土地や物件を所有していたとしても、買主を自分で探すことはとても大変です。登記などの複雑な手続きや、買主との交渉なども自分で行うのは容易なことではないでしょう。そのため、売却を行う時は不動産会社に仲介業務をしてもらい、買主を探します。
不動産会社は、買主を探すために様々な人的コスト・金銭的コストをかけて販売活動を行います。物件の写真撮影、不動産ポータルサイトへの掲載、広告作成、ポスティング、購入希望者に物件案内、価格交渉、登記などの法的手続き、売買契約書の作成など、業務はたくさんあります。
そして、無事成約となって初めて仲介手数料をもらえるのです。簡単に言うと成功報酬ですね。「高いから払いたくない!」という方も多いかと思いますが、仕組みとして成り立っている以上、売買が成立したら支払わなければなりません。または、(あまりおすすめはしませんが)仲介手数料無料の物件を探すという方法もあります。
1.仲介手数料には上限額がある
仲介手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で上限額が定められています。
仲介手数料の上限額は物件価格によって異なります。
売買価格(税込) | 料率 |
200万円以下の部分 | 5% +消費税 |
200万円超400万円以下の部分 | 4% +消費税 |
400万円超 | 3% +消費税 |
一見すると、200万円以下なら5%、400万円を超えたら3%と考えればよいと思いがちですが、それは大きな間違いです。「部分」とあるように、売買価格が200万を超える場合は、価格を2分割または3分割をして仲介手数料を計算する必要があります。
計算する際は、以下のような速算表を使って計算しましょう。速算表は売買価格を3段階に分けて計算します。
売買価格 | 計算式 |
200万円以下 | 物件価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円超、400万円以下 | 物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
売買価格が400万円超 | 物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
ちなみに、土地や個人が売主の中古マンションなどは売買価格に消費税はかかりませんが、仲介手数料には消費税がかかります。新築物件の場合は、建物の価格※にも消費税がかかります。
※建物の価格は消費税がかかりますが、土地の価格は対象外です。そのため、物件価格が「建物+土地の価格」となっている場合は「建物価格」と「土地価格」に分けて仲介手数料を計算してください。
2.仲介手数料の上限早見表
仲介手数料の計算は難しくはないですが、少し手間がかかりますよね。そこで、以下に仲介手数料の上限額の早見表をまとめました。
売買価格(税込) | 仲介手数料 |
100万円 | 55,000円 |
200万円 | 110,000円 |
300万円 | 154,000円 |
400万円 | 198,000円 |
500万円 | 231,000円 |
600万円 | 264,000円 |
700万円 | 297,000円 |
800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
6,000万円 | 2,046,000円 |
7,000万円 | 2,376,000円 |
8,000万円 | 2,706,000円 |
9,000万円 | 3,036,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
これは法律で定められた上限であるため、上限を超えなければ値引きや仲介手数料無料であっても違法なものではありません。仲介手数料の金額は、不動産会社のさじ加減で決まるといってもよいでしょう。上限を超えたら宅建業法違反となります。騙されないように注意しましょう。
最初に仲介手数料を支払うのは売買契約のときです。売買契約では「重要事項説明書」と「売買契約書」の読み合わせと署名・捺印、売主への手付金の支払いを行います。このときに、不動産仲介会社に対して仲介手数料の50%を支払います。
そして売買契約後、住宅ローンの手続きを行い、引渡し(決済)を迎えたときに残りの50%を支払います。
支払い方法は、銀行振込やクレジットカード払い、も対応している不動産会社もありますが、現金払いがほとんどです。住宅ローンに仲介手数料を組み込むこともできますので、詳しくは金融機関や不動産会社に相談をしてみてください。
4.仲介手数料は交渉できる?
結論から先に申し上げますと、交渉は可能です。しかし、応じてくれるかどうかは微妙なところです。やはり仲介手数料は不動産会社にとって大事な収入源ですから、値引き交渉には応じないケースがほとんどです。
必ず成功するとは限りませんが、値引き交渉をするときのコツは…
・繁忙期は避ける
・高圧的な態度は取らない
・最初に予算を伝えておく
主にこの3つです。賃貸は1~3月が繫忙期となりますが、売買の場合は繁忙期という概念は特にありません。人気の物件は季節を問わず売れますが、強いて言えば夏よりも冬の時期がマイホームを探す方が多くなります。値引きしなくても他の人が購入してくれるのなら、わざわざ値引きに応じる必要性を感じてもらえないでしょう。あとは、値引きをしろと高圧的な態度を取るのもNGです。
予算が少ないのなら、最初に希望を伝えておくことがベストです。仲介手数料を込みで住宅予算を立てるのが基本ですが、「できれば抑えられるだけ予算を抑えたい」と伝えて、予算を決める段階で仲介手数料を交渉してみましょう。話が進んでから値下げ交渉をするのは心証がよくありません。
5.仲介手数料を無料にできるのはなぜ?
仲介手数料は不動産会社にとって成功報酬、収入源なのに、仲介手数料無料にしている会社はどうやって利益を得ているのか不思議ではありませんか。
先に説明したとおり、仲介手数料は宅建業法で上限が定められていますが、上限を超えなければ仲介手数料無料にしても違法にはなりません。請求した方がよいものをわざわざ無料にするのには、ちゃんと目的があります。
ひとつ目は、仲介手数料無料を宣伝文句にして、客寄せする目的。仲介手数料を無料にする代わりに別の名目で高い手数料を請求するパターン。たとえば、「調査費用」や「広告費用」「コンサルティング費用」といった、「なんのための調査?」とつっこみたくなるような費用を請求される事例もあります。
ふたつ目は、戦略的な目的です。売主または買主どちらかの仲介手数料を無料にすることを「片手取引」、両方と仲介取引を行うものを「両手取引」といいます。
片方を無料にする意図としては、あえて一方を仲介手数料無料にして、物件の売買を早期にまとめてしまう狙いがあります。このような方法を取れば、買主側からは「手数料が無料だった」と喜ばれ、売主側からも「早く売ってくれた」という高評価な口コミを得ることができるのです。どちらにしても客寄せですね。