住宅ローンの融資実行までの流れと審査に落ちる人の特徴
住宅ローンを借りる時、どのような流れになるのか分からないという人も少なくないと思います。この記事では住宅ローンの融資実行までの流れと審査に落ちる人の特徴を説明します。
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【目次】
2.本審査
2.クレジットカードの保有枚数が多い
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1. 住宅ローン手続きの全体的な流れ
住宅ローンは物件購入の手続きと同時進行で進めていきます。まずは全体的な流れを把握しておきましょう。
できれば物件探しをする前に事前審査をして、自分が住宅ローンを組めるのか、いくらまでの家を買えるのか把握しておくことをおすすめします。
なぜなら、事前審査の結果が出るまで数日(3~4営業日)かかるからです。最近は家の在庫不足やマンション人気も高まって、人気物件はあっという間に売れてしまいます。事前審査の結果が出るまでの数日で他の人に買われてしまわないように事前審査を先に済ませておき、“いつでも買える”状態でスタンバイしておきましょう。
2.住宅ローンの申し込みから融資実行までの流れ
住宅ローン申し込みの流れは難しくはないですが、事前審査と本審査があり、それぞれ審査に通らなければなりません。この項目では、住宅ローンの申し込みから融資実行までの一般的な流れを説明します。
1.住宅ローンを選ぶ
住宅ローンの借入先は、メガバンクやネット銀行、提携ローンなど、いろいろあります。金利が低ければよいというわけではなく、自分に合った住宅ローン選ぶようにしましょう。
今回は細かい説明は省きますが、金利の種類のポイントだけ簡単に説明します。
・全期間固定金利型…全期間固定金利型は、借入期間中ずっと金利が変わりません。金利はほかの2つの金利と比較すると高めですが、返済額がずっと変わらないので将来のライフプランがたてやすく、金利変動のリスクがないため安心感があります。
・変動金利型…変動金利型は、借入期間中に金利が変動します。原則として、半年ごとに金利が見直され、5年ごとに返済額に反映されます。金利が上昇しなければ、低金利を享受できるメリットがありますが、将来金利が上昇するリスクはあります。(ただし、返済額が上がる場合でも、従来の返済額の1.25倍までという上限が定められています)
・固定期間選択型…固定期間選択型は、3年、5年、10年など固定金利の期間が決まっており、期間終了後に適用金利を選択します。一定期間経過後は、変動金利型になるのが一般的ですが、選択した期間が終了した時点で、固定金利か変動金利か、再度金利を選択できるようになっています。ただ、変動金利型のような返済額上昇の上限が定められていないため、固定金利が終了した時点で金利が上昇していた場合、返済額が増える可能性があります。
住宅ローンの選び方についてはこちらの記事をご一読ください。
低金利の住宅ローンを借りたい!おすすめの選び方を解説します!
年収の何倍までの住宅ローンを組むのがいいの?年収から考える返済シミュレーション
2.事前審査を申し込む
購入したい物件と金利が決まったら、事前審査を申し込みます。
事前審査は、金融機関が借主の返済能力をみる審査で、本審査の前に行われます。年収や勤続年数、借入時の年齢、過去の返済履歴などから、返済能力に問題はないかをチェックされます。結果が出るまで3~4営業日ほどかかります。
審査基準は金融機関によって異なります。収入が多ければ必ず大丈夫というわけではなく、過去5年以内に支払いの延滞がある方や借金がある方、クレジットカードをたくさん保有している方は審査に通らない可能性があります。車のローンや奨学金などを返済中の場合も、返済負担率が高くなるため審査に通らないこともあります。ちなみに、審査に通らなかった理由は教えてもらえません。
3.申し込み・本審査
事前審査に通ったら、本審査です。本審査は細かくチェックをされるので、事前審査よりも時間がかかります。おおよそ10日間~2週間くらいが目安です。
事前審査に通っても本審査では落ちてしまうケースもあります。たとえば「事前審査を通過した後に、新しく借り入れをした」「クレジットカードの支払いを滞納した」という場合は、本審査に落ちることがあるので、最後まで油断しないようにしましょう。
4.住宅ローン契約の締結
本審査が通ったら、金融機関と住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結びます。この時に住宅ローンの金利や返済期間などが決定します。
通常、契約は平日に金融機関の窓口で行われるため、土日休みの方は会社に伝えて休みの調整をしなければなりません。契約の際に改めて提出する書類はありませんが、実印や金融機関への届出印、借入額に応じた印紙税が必要です。
5.住宅ローンの実行
住宅ローンの実行は物件の引き渡しと同時に行われます。これを「融資実行日」と呼び、実行日がいつになるのかは住宅ローン特約(金銭消費貸借契約)で定められています。
一般的な流れとして、引き渡し日と融資実行日が別日になることはないだろうと考えがちですが、「引き渡し日に融資実行されなかった」というケースは少なくありません。特に、自分で借入先を選んだ場合は注意が必要です。不動産会社などが提携している提携ローンを選んだ場合は不動産会社が金融機関に残金決済時と融資実行日が同日になるように調整してくれますが、自分で借入先を選んだ場合はこれらの段取りはすべて自分で行います。
3.住宅ローンの手続きに必要な書類
この項目では、住宅ローンの手続きに必要な書類について説明します。夫婦ペアローンや配偶者が連帯保証人になる場合など、住宅ローンの組み方によって必要書類が異なりますので、必ず金融機関にご確認ください。
1.事前審査
事前審査の時に必要な書類は以下のとおりです。
種類 |
必要な書類 |
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金融機関が準備 |
事前審査申込書 |
書類の名称は金融機関によって異なります |
自分で準備 |
本人確認書類 |
・運転免許証
・健康保険証 ・パスポートなど |
収入を確認できる書類 |
・給与所得者の方…前年の源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書
・個人事業主の方…確定申告書や納税証明書など ・法人代表者の方…決算報告書など |
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物件を確認できる書類 |
・購入予定物件の販売チラシ
・見積り書や間取り図 ・土地の公図など |
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その他 |
現在、借り入れがある場合は、償還予定表や残高証明書 |
2.本審査
本審査は事前審査の時よりも必要書類が多くなります。不備がないように注意しましょう。
種類 |
必要な書類 |
|
金融機関が準備 |
住宅ローン借入申込書 | 書類の名称は金融機関によって異なります |
保証委託依頼書 | 保証会社を利用する場合は必要 | |
団体信用生命保険申込書 | 団体信用生命保険を利用する場合は必要 | |
自分で準備 |
本人確認書類 |
・運転免許証
・健康保険証 ・パスポートなど ・世帯全員の住民票(続柄の記載があり、本籍地やマイナンバーの記載がないもの) ・印鑑証明書 ・印鑑証明書に使用した実印 |
収入を確認できる書類 |
・源泉徴収票
・確定申告書 ・納税証明書その1、その2 ・住民税決定通知書 など ・預金口座通帳など(残高確認のため) |
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物件を確認できる書類 |
・売買契約書
・重要事項説明書 ・工事請負契約書 ・建築確認申請書 ・建築確認済証 ・登記事項証明書 ・間取図 ・公図 など |
4.住宅ローンの手続きに必要な費用
住宅ローンを組む際、以下のような費用がかかります。
・印紙代…融資額に応じて税額が決まります。融資額1000万円超5000万円以下の場合の税額は2万円です。
・融資事務手数料…3~5万円
・ローン保証料…借入金額の2~3%程
・登記費用…登録免許税は融資額の0.1%または0.4%
・司法書士手数料…5~10万円
・団体信用生命保険料…通常の保険であれば、保険料は金利に含まれているので別途支払いは不要です。「フラット35」の場合、団体信用生命保険の加入は任意ですが、加入する場合は金利に上乗せする形で月払いとなります。
5.住宅ローンの審査に落ちる人の特徴
最後に、住宅ローンの審査に落ちる人の特徴を説明します。
1.個人信用情報に「異動」の記載がある
信用情報機関が保管している記録の中に「異動」という記録がされている場合があります。これは、クレジットカードなどの支払いの遅延を61日もしくは3ヶ月以上している場合に記録されます。いわゆるブラックリストの状態なので、住宅ローンの審査に通ることはありません
過去にクレジットカードやローンなどを利用したことがある方や遅延をした記憶がある方は個人信用情報を取り寄せ、「異動」の記載がないかチェックしてください。
信用情報機関は、銀行系・カード系・消費者金融系の3種類あり、500円~1,000円ほどの手数料を支払えば取り寄せられます。各取り寄せ方法と手数料は以下のとおりです。
◎銀行系…全国銀行個人信用情報機関(JBA)
・JBAのHP上から郵送請求可能。
・請求手数料は1,000円(税込)
◎カード系…株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・郵送、窓口、インターネット請求が可能
・窓口の場合は手数料500円(税込)
・インターネットや郵送の場合は手数料1,000円(税込)
◎消費者金融系…株式会社日本信用情報機構(JICC)
・郵送、窓口、インターネットから請求が可能
・窓口の場合は手数料500円(税込)
・インターネットや郵送の場合は手数料1,000円(税込)
2.クレジットカードの保有枚数が多い
返済負担額を計算する際は、キャッシング枠の限度額も計算に含まれます。クレジットカードの保有枚数が多いとキャッシング枠も多くなるので、返済負担率が高くなり、審査に通らない可能性があります。
不要なクレジットカードは事前審査の前に解約しておくことをおすすめします。保有枚数の目安としては5枚までで、それ以上は多いとお考えください。
3.借金がある
クレジットカードのキャッシング枠、リボ払い、自動車ローン、奨学金、カードローンなどの借入も返済負担率に影響します。
住宅ローンの返済額に加えて他の借入も返済しなければならないとなると、住宅ローンに充てられる余裕がなくなってしまうので、返済負担率が高くなります。
対策としましては、高利子の借入から順に完済しておくことがベストです。同時にすべての借入を完済するのは難しい場合もありますから、リボ払いなどの高利子の借入から優先的に完済しておくとよいでしょう。
4.返済負担率がギリギリ
年収に対してギリギリの借入額で住宅ローンを申し込むと審査に落ちる可能性があります。やはり返済負担率が重要になります。
返済負担率を下げるには、理想なのは頭金を用意することです。頭金は3割用意しなければ住宅ローンを組めない時代ではありませんが、無いよりはあった方が返済負担率を下げることはできます。
頭金が用意できない場合は親や祖父母から資金援助を受けるか、安い物件を探し直すという方法もあります。たとえば「駅から徒歩10分の物件を15分にしてみる」「築年数を古い物件にしてみる」という選択もあります。広さだけは妥協すると住みにくくなるので、まずは駅からの距離と築年数から見直してみてはいかがでしょうか。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
5.収入が不安定・勤続年数が短い
事前審査では、借主の返済能力に注視しますので、自営業や個人事業主の方、転職してから勤続年数が短い方は審査に通りにくいことがあります。
対策としましては「フラット35」を検討するのがおすすめです。フラット35は、審査の基準は民間ローンよりも厳しくないほか、年収による制限がありません。ただし、すべての方に適した住宅ローンとは言い切れません。メリットデメリットを理解した上で検討してください。
◎フラット35のメリット
・個人事業主、自営業の方も借りやすい
・繰り上げ返済の手数料が無料
・保証料が不要
・団体信用生命保険の加入が任意
◎フラット35のデメリット
・住宅の技術基準があるため、物件の検査が必要
・変動金利より金利が高い
・返済時に金利が下がったとしても返済額は変わらない
・団体信用生命保険に加入したい場合は別途費用が必要
・借入可能な限度額が金融機関の住宅ローンよりも低い
・金利の選択肢が少ない(全期間固定金利型のみ)
フラット35について詳しく知りたい方はこちらの記事をご一読ください。
「フラット35」はどのような人に向いている?メリットデメリットも解説!