住宅ローンを借り換えるメリットデメリット
最近は固定金利であっても昔に比べて金利が低い「超低金利時代」ですが、変動金利型やネット銀行などを選べば1%を切ることも珍しくありません。そのため、「低金利の住宅ローンの借り換えようかな」とお考えの方も多いように感じます。
そこで今回の記事では、住宅ローンの借り換えのメリットデメリット必要になる書類、住宅ローンの借り換えの審査でチェックされる点などについて解説します。
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【目次】
2.住宅ローン控除の対象外になる可能性がある
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1. 住宅ローンの借り換えの流れ
住宅ローンの借り換えは、一般的に以下の流れで行います。
1.事前審査の申し込み
2.本審査の申し込み
3.借入中の金融機関に「全額繰り上げ返済をしたい」と申し込む
4.新しい金融機関と借り換え契約を結ぶ
5.融資実行(借入中の住宅ローンを完済)
手続きにかかる期間は、1ヶ月程度です。書類に不備があった場合は審査が中断してしまうので注意しましょう。特にネット銀行で借り換えを検討されている方は要注意。ネット銀行の場合は、窓口ではなく郵送で書類を提出するため、書類の不備で再送となったらさらに時間がかかってしまいます。
そして、万が一審査に通らなかったらすぐに別の金融機関に申し込めるように、いくつか借り換え先の候補を決めておくとよいでしょう。
1.利息の額と総返済額の減額
金利が低い住宅ローンへ借り換えした場合、月々の返済額と総返済額を減らすことができます。
現在の住宅ローン | 借り換え後 | |
借入額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
金利 | 固定1.5% | 変動0.475% |
期間 | 20年 | 20年 |
月々の返済額 | 144,764円 | 131,056円 |
総返済額 | 34,743,360円 | 31,453,440円 |
月々の返済額は13,708円、返済総額は3,28万円減らせています。借り換えの費用は必要ですが、少しでも返済を少なくしたい、という方にはメリットが大きいのではないでしょうか。
2.固定金利への借り換えで金利上昇のリスク軽減できる
ひとつめのメリットとは逆に、変動金利から固定金利に変更して、将来の金利上昇リスクを軽減したいという方も多いかと思います。
ただし、固定金利は金利が高いので月々の返済額や総返済額は増えてしまいます。金利上昇リスクも怖いけれど返済額が増えるのも嫌、という方は、全期間固定ではなく、固定金利期間選択型も検討してみてください。
3.団体信用生命保険の見直しができる
借り換えをするときは、新たに団体信用生命保険(以降、団信)に加入をするので、保障の手厚い団信に乗り換えられるチャンスです。
たとえば、7大疾病保障付き住宅ローンといったものがあります。7大疾病とは、ガン(悪性新生物・上皮内新生物)・糖尿病・心疾患・高血圧性疾患・脳血管疾患・肝疾患・腎疾患のことです。これら7大疾病と診断されるか入院した場合、住宅ローン残債がゼロになります。
1.借り換えするための費用がかかる
借り換えをするためには諸費用がかかります。
金融機関によって内容は異なりますが、一般的には以下のような諸費用が必要です。
費用 |
内容 |
抵当権設定費用 | 司法書士報酬は依頼先によって異なりますが10万円程度、登録免許税は借入金額の0.4%かかります。 |
抵当権抹消費用 | 司法書士報酬は2〜3万円程度、登録免許税は土地・建物1個につき1,000円かかります。 |
印紙税 | 1,000万円を超え5,000万円以下場合は2万円
5,000万円を超え1億円以下の場合は6万円 |
保証料 | 借入金額や返済年数によって決まることが多く、数万円~数十万円かかるケースが一般的。中には、保証料不要の金融機関もあります。 |
事務取扱手数料 | 金融機関によって異なりますが、定額で数万円の場合と、借入金額×○○%(税込)のように借入額に応じて決まる場合があります |
2.審査に通らないこともある
家計や健康上の問題がある方は団信に加入できないので、借り換えの審査に通らない可能性があります。
借り換え時には以前の団信を継続することはできないため、新たに別の団信加入の手続きを行うことになります。借り換え前の住宅ローンの返済の途中で病気になっていた場合、団信に加入することができません。その場合は、加入条件が緩やかな「ワイド団信」または団信の加入が不要な「フラット35」を検討することになりますが、どちらも金利が高めに設定されているので注意が必要です。
3.思ったほど効果を感じられないこともある
住宅ローンの借り換えを行うことで、月々の返済額や総返済額を減らすことができますが、人によっては思ったほど効果を感じられないこともあります。
現在の住宅ローン | 借り換え後 | |
金利 | 固定1.5% | 変動0.475% |
月々の返済額 | 144,764円 | 131,056円 |
総返済額 | 34,743,360円 | 31,453,440円 |
上記のシミュレーションでは、月々の返済額は13,708円、返済総額は3,28万円減らせていますが、借り換え費用が70万円以上かかるケースも少なくありません。
所費用を差し引いても借り換えた方がお得に感じるのならやる価値は充分にあるかと思いますが、「70万円もかけてこれだけの効果しかないのか」と感じる方は借り換えには向かないでしょう。
借り換えることで効果を感じやすいのは
・借り換え前と借り換え後のローンの金利差が1%以上ある人
・ローンの残債が1,000万円以上ある人
・返済期間が10年以上残っている人 です
ローンの残債が1,000万円未満の人や返済期間が10年未満の人が借り換えを行うのはもったいないかもしれません。
4.借り換えの審査で必要になる書類
事前審査と本審査で必要な書類は以下のとおりです。金融機関によって内容は異なりますので、必ずいつ何が必要なのか確認してくださいね。
【本人確認書類】
・運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカードなど
・住民票、印鑑証明書(印鑑証明書は不要の場合もあります)
【収入に関する書類】
・給与所得者
前年度分の源泉徴収票
確定申告している場合には確定申告書と納税証明書も必要
前年度分の住民税課税証明書、または課税証明書
・個人事業主や法人代表
確定申告書(直近3年分または2年分)
納税証明書その1・その2(直近3年分または2年分)
会社の決算報告書
直近3年分または2年分
【物件に関する書類】
登記事項証明書(土地)発行後3カ月以内のもの
登記事項証明書(建物)発行後3カ月以内のもの
売買契約書
重要事項説明書
工事請負契約書
【団体信用生命保険】
・健康診断書
5.住宅ローンの借り換えの審査でチェックされる点
住宅ローンの借り換えの審査は、新規借入時よりも審査が厳しくなっています。
なぜなら、借り換えの場合は新規借入時よりも歳を取っていて健康状態の不安もありますし、物件の担保としての評価が下がってしまうので、「問題なく返済できるの?」と個人の信用情報と健康状態が重視されてしまうからです。
住宅ローンの借り換えの審査でチェックされる点は主にこの3つです。
・健康状態
・物件の担保評価
・返済負担率(年収に占める返済の割合)
借り換えの時に特に注意が必要なのは、返済負担率です。みなさん新規借入時に問題なく審査に通っているので油断しがちなのですが、マイカーローンやクレジットカードの支払い残高などの「住宅ローン以外の借入れ」があると、返済負担率が高くなるので、審査に通らないこともあります。新規借入時と同様(それ以上)に厳しい目でチェックされますので、物件の担保評価は仕方ないとして、健康状態と住宅ローン以外の借入れには注意しておきましょう。