【不動産売却】家の相場を自分で調べる方法と売り出し価格を決めるときの注意点
不動産の売却をする際、まずやっていただきたいのは自分で不動産の相場を調べること。一般の方でも簡単に調べられる方法と、調べる時のポイント、売り出し価格を決めるときの注意点も併せて解説します。
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【目次】
2.固定資産税評価額から調べる
2.類似物件が少ない時は対象エリアを拡げてみる
2.「売りたい価格」と「売れる価格」に差があってもガッカリしない
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1. 家の相場を自分で調べる方法
「家の相場を自分で調べるなんて難しそう…」と思うかもしれませんが、実は簡単に調べることができます。
1.レインズマーケットインフォメーションで調べる
「レインズマーケットインフォメーション」とは、公益財団法人不動産流通機構が運営している全国の不動産取引情報を閲覧できるサイトのことです。
不動産会社しか閲覧できない「レインズ」とは異なり、一般の方も利用できます。レインズマーケットインフォメーションは、不動産取引が特定できないように成約時期や築年数などの詳細は記載されていません。以下の内容を調べることができます。
表示項目 | 単位 | 表示方法 |
価格 | 百万円 | 十万円単位を四捨五入して表示。 |
単価 | 万円/m2 | 小数点以下を四捨五入して表示。 |
面積(建物・土地) | m2〜m2 | 実際の面積に20m2の幅を持たせて表示。(面積が200m2を超える場合は「200m2超」と表示) |
築年 | 年 | 実際の築年に2年の幅を持たせて表示。 |
成約時期 | 年月〜月 | 成約された年月を3カ月で区切った範囲で表示。 |
レインズマーケットインフォメーションを利用する際の注意点は、成約事例だけを基準にしないことです。実際にサイトを利用する際に「不動産の価格は個別要因や取引事情により変動し、一律に定まるものではないので、ご注意ください」
という注意書きが表示されます。不動産の相場はその当時の需要と供給、売主の意向や物件ごとの要因によっても変化しますので、成約事例だけを見て自分の物件もこの価格で売れる!と思い込まないようにしましょう。
レインズマーケットインフォメーションのご利用はこちらからどうぞ
2.土地総合情報システムを利用する
「土地総合情報システム」とは、国土交通省が運営している不動産の取引価格や地価公示、都道府県地価調査の価格を閲覧できるサイトのことです。
レインズマーケットインフォメーションと同様、誰でも利用できる代わりに物件の詳細は伏せられています。物件の内容は「所在地」「最寄駅」「取引総額」「坪単価」「面積」などが分かります。物件の所在地については、町名までしか表示されません。
土地総合情報システムのご利用はこちらからどうぞ
3.不動産ポータルサイトを利用する
不動産ポータルサイトは、全国の不動産会社が現在売り出し中の物件を掲載しているサイトです。
一番気軽な方法ではありますが、不動産ポータルサイトに載っている価格は相場ではなく「売り出し価格」なので、あくまでも参考程度にお考えください。
建物の評価基準
1.築年数
2.建物の構造
3.間取り
建物の評価基準は同じですが、土地は異なります。一戸建てとマンションでは、土地の評価基準が違うのです。
土地の評価基準
一戸建て…土地価格+築年数に応じた建物価格
マンション…市場価格
「マンションの市場価格って何?!」と思われた方も多いのではないでしょうか。一戸建ての評価基準と違って曖昧ですよね。
そもそも不動産の資産価値の考え方として、建物は経年劣化で資産価値は減少していきますが、土地は何年経っても劣化はしないため、資産価値が残ります。
一戸建ての場合、住み始めて10年経過すると建物の価値は購入時の半分ほどの価格にまで下落し、価値が下げ止まった後は土地の価格だけが資産価値として残ります。
一方、マンションは一戸あたりの土地の所有割合が低いため、建物の資産価値がゼロになってからは、マンションと一戸建ての資産価値が逆転することが多々あります。ただ、近年はマンション人気が高まっていて、古いマンションでも新築並みの価格で売り出されています。
このような背景から、当記事では、マンションの土地の評価基準を「市場価格」で判断する、という表現をしています。
1.路線価から調べる
一戸建ての土地価格は、「路線価」をもとに算出できます。
路線価とは、市街地などの道路に面する宅地1㎡あたりの評価額のことです。毎年7月1日を基準日として国税庁が発表しており、路線価図・評価倍率表から利用できます。
※路線価は実際に取引される価格より2割低く設定されています。
2.固定資産税評価額から調べる
固定資産税から土地の相場を調べることができます。
算出方法は以下のとおりです。
土地相場 =(固定資産税評価額÷0.7) |
ただし、固定資産税評価額は公示価格の7割程度を目安として定められているため、固定資産税評価額のとおりの値段で売れることはほとんどありません。
4.家の相場に影響を及ぼす要因
家の相場や価値に影響を及ぼすものはいろいろあります。
・築年数
・建物の状態
・土地の状態
・周辺環境
・新耐震基準
・リフォームの有無
やはり一番の要因は築年数です。家は経年劣化とともに資産価値が落ちていきます。ほぼ同じ間取りの家でも、たった1年築年数が違うだけで売り出し価格に大きな開きが出るケースは多々あります。ただ、新築~築10年までは1年ごとに価格が下がっていって購入時の半分ほどの価格にまで下落しますが、築10を過ぎると下落幅はゆるくなり、20年を超えると下げ止まります。築浅の物件を売ろうとお考えなら早めに行動することをおすすめします。
5.家の相場を自分で調べる時のポイント
家の相場をスムーズに調べるために、いくつかおさえておきたいポイントがあります。
1.平米単価で計算してみる
自分が売りたい物件と似ている(築年数や周辺環境など)物件が見つかった時、この物件を基準に相場を知りたいのに広さだけが違う、ということもあるでしょう。
その場合は物件の価格を平米単価に置き換えて計算してください。
たとえば、自分の物件が40平米で、似ている物件が80平米だと仮定します。取引価格が3,000万円の場合、以下の計算式で相場を計算できます。
似ている物件の平米単価=3,000万円÷80平米=37.5万円
自分の家の相場=37.5×40平米=1,500万円
何もかもが同じ物件はありません。大抵は広さが違うことがほとんどなので、平米単価で計算して相場を調べてみてください。
2.類似物件が少ない時は対象エリアを拡げてみる
自分の物件と似ている物件が見つからない場合は、対象エリアを拡げて再度探してみることをおすすめします。
同じような家でも一駅違うだけで相場は変わることはありますが、参考になる物件がゼロよりは対象エリアを拡げてみた方が良いです。都内だけではなく神奈川や埼玉まで拡げてみたり、同沿線の物件も参考にしてみたりしましょう。
3.条件検索の項目をできる限り絞る
似ている物件が見つからない場合は、対象エリアを拡げることは得策ですが、不動産ポータルサイトで相場を調べる際は、できるだけ条件検索の項目を絞った方が自分の物件と似た物件が見つかりやすいです。
エリア
駅
駅までの距離
築年数
広さ
間取り
建ぺい率
容積率 など
これらを絞っていき、似た物件が見つからなければ対象エリアを拡げてみてください。
6.売り出し価格を決めるときの注意点
家の相場を調べ、不動産会社の査定を終えたら、いよいよ売り出し価格を決めます。この項目では、売り出し価格を決めるときの注意点を解説します。
1.相場や査定価格はそのまま「売り出し価格」にはならない
調べた相場や不動産会社が提示した査定価格は、そのまま売り出し価格にはなりません。
売り出し価格にしても構いませんが、そもそも売り出し価格は、売主が買主に対して提示する希望価格です。希望価格から価格交渉が行われたり、売れなければ値下げしたりすることもあるので、実際に成約したときの価格は売り出し価格よりも低くなることがほとんどです。
それを見越して相場よりも高い査定価格を提示してくる不動産会社もいますが、後から「高すぎて売れないので値下げしましょう」と言われるのがオチです。そうなると家を探している側からは「売れないから値下げした」というイメージを持たれ、買い手がつかず売れ残ってしまう可能性が高まります。
「じゃあ不動産会社が提示した査定価格って何の意味があるの!?」と不満の声が聞こえてきそうですが、査定価格というのは、あくまでも不動産会社がいくらで売れるかを目安にした価格なので、必ずしもその価格で売りに出さなくても問題ないのです。自分で相場を調べておけば、その不動産会社が適正価格を提示しているのか判断がつきます。
2.「売りたい価格」と「売れる価格」に差があってもガッカリしない
売主が売却活動をする中で葛藤するのは「売りたい価格」と「売れる価格」の差です。
相場より高い価格で売っても買い手はつきませんし、売れ残るのが嫌だからと相場よりも安くしても赤字になってしまいます。売却成功の近道は、適正価格で売り出すことです。
特に不動産会社に仲介してもらう場合、売り出し開始から3ヵ月が山場といわれています。3ヵ月以上物件情報が公開されていると、頻繁に物件情報をチェックしている人から売れ残りだと認識されてしまいます。初めて物件を見た人に買ってもらいたいと思われれば良いですが、よっぽど人気のエリアに建つ築浅マンションでもない限り、相場よりも高い価格で売り出すのはリスキーすぎます。
売り出し価格を決める上で大切なのは、自分の物件の売り出し価格を客観的に判断できる冷静さです。「売りたい価格」と「売れる価格」に差があってもガッカリしないようにしましょう。