【40代独身】賃貸と持ち家ならどちらがよいのか
今回は当コラム初のテーマ。
『40代独身の方は、賃貸と持ち家、どちらを選べばよいのか』です。
定年退職後と老後のことや住居費のことを考えるとどちらがベストなのか悩まれる方も多いと思います。そこで本稿では、賃貸か購入か迷った時のポイントや賃貸と持ち家の住居費の比較、40代でマイホームを購入するメリットデメリットなども解説します。
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【目次】
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1. 独身の人はどんな住居を選んでいる?
総務省統計局の「単身世帯の住まい方」によると、30歳未満は賃貸を選択するケースが多いですが、年齢が高くなるほど持ち家を選択する人が多くなっています。特に65歳以上の人は持ち家を選択する比率が最も多く、なんと5割強。
出典:総務省統計局「単身世帯の住まい方」
理由は人によって様々かと思いますが、65歳以上の人はパートナーとの死別や子どもの自立によって持ち家を選択したケースも多いでしょうし、年代的に生涯独身という人が少なかった世代というのもあるので、現代の30~40代の独身の人が今後この比率になるかというと微妙なところです。
さらに男女別でみていくと、持ち家の共同住宅(マンション)を選択する割合は,男女共に40歳と50歳代が多く、男女の差も大きくなっています。特に45~49歳が最も割合が多く、女性(21.9%)が男性(11.7%)のほぼ2倍というデータが出ています。
出典:総務省統計局「単身世帯の住まい方」
2.40代独身の人が賃貸か購入か迷った時のポイント
賃貸と持ち家のメリットデメリットは後述しますが、この項目では40代独身の人が賃貸か購入か迷った時にどう判断したらよいのかいくつかポイントをご紹介します。
1.住宅ローンを組めるリミット
多くの金融機関は、完済時の年齢を80歳としています。そうなると逆算して45歳までに住宅ローンを組まなければ35年返済ができません。
そのため、45歳を過ぎると住宅ローンの審査が厳しくなるケースもあります。年齢があがるにつれ病気や死亡のリスクは高まりますから、貸し倒れを回避したい金融機関にとっては、年齢を重視せざるを得ないのです。
また、体の不調が起こりやすい40代以降は健康面の不安もあります。住宅ローンを利用するには、「団体信用生命保険(団信)」に加入することがフラット35を除いて必須条件となっています。団信に加入するには、健康でなければいけません。持病や過去の病歴があれば「告知事項」として記載する決まりになっています。収入面でクリアできても、団信に加入できなければ住宅ローンを組めないので注意が必要です。「フラット35」の場合は団信の加入は任意となりますが、契約者の死亡や病気によって住宅ローンの返済ができなくなったときのリスクがあるので慎重に検討しましょう。
2.定年後&老後はどうする?
賃貸も持ち家も定年退職後と老後のことを考えておかなければなりません。
賃貸の場合は、若い頃は気軽に住み替えができてよいかもしれませんが、高齢になると審査に通らないことも増えてきます。「今後ますます高齢化社会が進むから、審査に通らないことはない」と予想している人もたまにいらっしゃいますが、あくまでも予想なので、先のことは誰にも分かりません。審査に通ったとしても、賃料の支払いは一生続きます。住宅ローンのように終わりがありません。
では、持ち家なら安心なのかというと、こちらもやはり定年退職後と老後のことは考えなければなりません。40歳で住宅ローンを35年で組んだ場合、完済時は75歳です。65歳で定年した後の10年間、どうやって住宅ローンを返済していくのかが課題となります。また、老後の資金繰りはどうするのかも同時に考える必要もあります。ただ、住宅ローンはいつか終わりが来ます。完済さえすれば、あとは固定資産税と住居のメンテナンス費だけ用意すればよいのです。
賃貸と持ち家、どちらの方が「老後を楽しく生活できそうか」「安定して支払いをできるのはどちらなのか」を考えてみると答えが出て来るかと思います。
3.資産として残したいかどうか
持ち家は資産になります。借り物ではなく「自分の家」です。売却しない限りは資産として残ります。賃貸はいくら高い家賃を払っても資産として残りません。
資産として残るということは、売却すればまとまったお金を手に入れられるということです。しかし、売却すれば同時に住むところを失ってしまうのでちょっと…という方も多いことでしょう。今回の記事では詳細は省きますが、「リバースモーゲージ」を利用する方法もあります。リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りることができるシニア向けのローンです。毎月の支払いは利息のみで、契約者が死亡後、担保にしていた家を売却して融資を一括返済できます。
リバースモーゲージを利用すれば、家を担保に老後資金を借りられるうえ、家にも住み続けられます。老後の生活資金を確保しながら、家も手放さずに済むのでおすすめの方法ではありますが、デメリットも多いので注意が必要です。金融機関によってはマンションや地方の物件は利用不可、建物や土地の評価額が基準以上などといった、利用条件があります。他にもデメリットがありますので、インターネットなどで情報収集をしてから検討してみてください。
3.賃貸と持ち家の住居費の比較
賃貸か持ち家か迷われている場合、住居費のことも気になるのではないでしょうか。
1.賃貸に50年住む場合
【設定条件】
1~10年目:家賃10万円(3LDK)
11~25年目:家賃8万円(2LDK)
26~50年目:家賃6万円(1LDK)
1~10年目 | 11~25年目 | 26~50年目 | |
初期費用 | 50万円 | 44万円 | 38万円 |
家賃 | 10万円×12か月×10年
=1,200万円 |
8万円×12か月×15年
=1,440万円 |
6万円×12か月×25年
=1,800万円 |
更新料(2年ごと) | 10万円×5回
=50万円 |
8万円×7回
=56万円 |
6万円×12回
=72万円 |
管理・共益費
(10%) |
1万円×12か月×10年
=120万円 |
8,000円×12か月×15年
=144万円 |
6,000円×12か月×25年
=180万円 |
修繕積立金 | 1万2,268円×12か月×10年
=147万2,160円 |
1万2,268円×12か月×15年
=220万8,240円 |
1万2,268円×12か月×25年
=368万400円 |
合計 | 1,517万2,160円 | 1,820万8,240円 | 1,820万8,240円 |
あくまで概算になりますが、賃貸に50年住む場合の合計は、5,758万800円となります。
2.持ち家に50年住む場合
【設定条件】
物件価格:3,494万円
金利:固定金利1%
頭金は349万円用意すると仮定して3,494万円-349万円=3,145万円が住宅ローンの借入額
内容 |
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初期費用 | 524万円
(諸費用175万円・頭金349万円) |
住宅ローンの借入額 | 3,145万円 |
利息 | 10万円×5回=50万円 |
固定資産税と都市計画税 | 12万円×50年=600万円 |
メンテナンス代(10年ごと) | 80万円×5回=400万円 |
リフォーム代 | 100万円×3回=300万円 |
合計 | 1,517万2,160円 |
家を買って50年住む場合の合計は、5,204万円となります。
選ぶ物件や頭金の額などによっても異なりますが、今回のシミュレーションでは賃貸よりも持ち家の方が住居費は安いという結果が出ました。
巷では「賃貸よりも持ち家のほうが1,300万円お得」という意見もあります。こちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご一読ください。
【持ち家と賃貸は結局どっちがいい?】よく聞く「1300万円の差」のウワサ
4.40代でマイホームを購入するメリットデメリット
40代でマイホームを購入するメリットは以下のとおりです。
・頭金を多く用意できるので、住宅ローンの総返済額を減らせる
・仕事やライフスタイルが安定しているので物件が選びやすい
40代ともなると、収入も安定していて貯金もたくさんある!という方も多いことでしょう。頭金を用意できれば返済期間を20~25年程度に設定して住宅ローンの総返済額を減らすことも可能です。また、40代は20代や30代よりも仕事やライフスタイルの大きな変化は少ないですし、生涯独身派の方は物件が選びやすいこともメリットのひとつかと思います。
一方、40代でマイホームを購入するデメリットとしては、やはり住宅ローンの組み方です。先に説明しましたが、多くの金融機関では完済時の年齢を80歳としているため、住宅ローンを組めるリミットを気にしなければなりません。最長である35年で組みたい方は逆算して35年で組むか、頭金を用意して借入額を減らして組むか考える必要があります。
5.40代独身が購入するならどんな物件がよいのか
家を購入することを選択したとしても、どんな物件を購入すればよいのか分からないという方も多いでしょう。
住宅ローンの支払いが不安、独身なら買うのはマンションが良さそうだけれど、マンションは金額が高い…というお悩みもよく聞きます。
「絶対に新築じゃなきゃ嫌だ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、中古マンションという選択はいかがでしょうか。中古には抵抗がある、という方も多いかもしれませんが、SUUMOリサーチセンターが2022年4月に実施した「住宅購入・建築検討者調査」によると、中古マンションの検討率が2019年以降で初めて新築マンションを上回ったというデータが出ているのです。
出典:SUUMOリサーチセンター「住宅購入・建築検討者調査」
中古マンションの価格が上昇傾向にある理由は、新規マンションの価格高騰です。新規マンションは高すぎて買えないという人が中古マンションを検討するケースが増えてきています。そうは言っても中古は抵抗がある…という方は一度見学をしてみてはいかがでしょうか。築浅物件やリノベーション済の物件など、まずは気になる物件をどんどん見てみましょう。「意外にキレイかも!」と中古に興味が湧く方も多いですよ。中古を見学してみてやはり新築がいい!と思ったのなら予算内で無理なく買える物件を探しましょう。
どちらにしても家を買うなら早めに動くべきです。住宅ローンを組めるリミットがどんどん迫ってきてしまいます。