一戸建てはいくらで買える?
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【目次】
[1]買いたい家によって選ぶべき不動産会社は異なる
[2]一戸建て購入時にかかる諸費用と支払うタイミング
[3]一戸建て購入後にかかる「ランニングコスト」
[4]新築一戸建て購入時にかかる諸費用(借入金額3,500万円)
[5]住宅ローンの返済負担率について
[6]貯金ゼロでも住宅ローンは組める?
[7]まとめ
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2020年住宅金融支援機構の調査によると、建売一戸建ての所要資金は、全国で3,495万円。首都圏だと3,922万円ということでした。
みなさん新築一戸建てを購入する時は3,500万円前後の資金を使っているということになりますね。ただ、この数字を見ても具体的に何にいくらかかったのかピンとこないのではないでしょうか。マイホーム購入資金は物件価格だけではありませんから、いつどのような諸費用が必要なのか知る必要があります。
そこで今回の記事では、新築一戸建てを購入する場合に絞って(マンションについては別の機会に行いたいと思います)、必要な諸費用と支払うタイミングを解説します。
[1] 買いたい家によって選ぶべき不動産会社は異なる
諸費用について解説する前に、不動産会社の種類について少し説明したいと思います。なぜなら、「不動産会社はどこも同じ」と思っている方が多いからです。
買いたい住宅種別によって、選ぶべき不動産会社は異なります。建売住宅ならここ、注文住宅ならここ、新築マンションならここ…という風に不動産会社はひとつではないのです。
不動産会社の種類をざっくりと分けますと…
◎注文住宅を建てたいならハウスメーカーか工務店
ふたつの違いは下記のとおりです。
ハウスメーカー ・全国展開している ・仕様が規格化されているため、工務店よりも柔軟性に欠ける部分がある 工務店 |
土地を購入する前にハウスメーカーや工務店行っても設計の相談ができません。そのため、注文住宅を建てる時の手順としては、まずは土地を探すために仲介会社に行き、その後ハウスメーカーか工務店に行きます。仲介会社で「土地+建物の総予算」から逆算した仮の予算で土地を探してくれます。ハウスメーカーや工務店の斡旋も行ってくれる会社もありますので、まずは不動産仲介会社に相談してみると良いでしょう。
◎注建売新築一戸建て、中古一戸建てを購入したいなら仲介会社
住宅購入の窓口です。ハウスメーカーや工務店のようなゼロから始める家づくりは出来ないですが、その人に合った資金計画を立て、予算内の物件を紹介してもらえます。また、売主とのやり取りや価格交渉、金融機関との段取りなど、面倒なことはすべて仲介会社が行ってくれます。
[2]一戸建て購入時にかかる諸費用と支払うタイミング
それでは、タイトル通り諸費用について詳しくみていきましょう。
一戸建て購入時の諸費用を大きく左右するものは、仲介手数料です。通常、買主と直接取引する場合は、仲介手数料等は発生しませんが、不動産会社の仲介で購入することが多い新築一戸建ての場合は、仲売買代金の3%+6万円を上限として仲介手数料がかかります。
マイホーム購入時に必要な費用は下記のとおりです。
売買契約で必要な諸費用 |
手付金(現金で100万円程度必要)
仲介手数料 登記登録免許税 登記登録手数料 固定資産税清算 印紙代 |
住宅ローンの契約で必要な諸費用 |
融資手数料
住宅ローン保証料 印紙代 団体信用生命保険料 火災保険料 |
支払うタイミング | 諸費用 | 内容 |
売買契約時 |
手付金(現金で100万円程度必要) | 買主が売主に支払うお金です。売買契約時に現金で支払います。手付金が用意できなければ契約を断られることもあります。 |
仲介手数料 |
物件価格の3%+6万+消費税が上限とされています。売買契約時に50%を支払い、決済時に残金を支払います。
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印紙代 |
売買契約の際に現金で支払います。印紙代は契約の金額によって異なり、物件価格が1,000万円~5,000万円以下の場合は、印紙代は2万円かかります。 | |
決済・引き渡し |
印紙代 |
住宅ローンの契約書に印紙を貼る印紙代を現金で支払います。物件価格が1000万円~5000万円以下の場合は2万円となります。 |
登記費用
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新築一戸建ての場合、行わなければならない登記は下記の4種類。
1. 建物表題登記 2. 所有権移転登記 3. 所有権保存登記 4. 抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合は必要)
相場は30万円~50万円、その内、約2/3程度は司法書士への報酬となります。 |
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固定資産税や都市計画税(日割) |
所有権移転日以降から固定資産税が発生します。購入した日から日割りで計算した金額を売り主に支払います。相場は、固定資産税評価額×1.4%となります。
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支払うタイミング |
諸費用 | 内容 |
住宅ローン契約時 |
融資手数料 | 金融機関に支払う手数料です。3~5万円ほどかかります。
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住宅ローン保証料 | 万が一返済ができなくなった時に、住宅ローンの肩代わりを保証会社にしてもらうための費用。借入金額の2~3%程必要です。 | |
団体信用生命保険料
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借入金額に対して計算するため、相場がありません。また、団信の種類によっても金額が異なります。 | |
火災保険料 | こちらも、金融機関によって金額は異なりますが、平均額は年間10,000円~20,000円程です。
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[3]一戸建て購入後にかかる「ランニングコスト」
一戸建ての諸費用を考える時、ランニングコストについてもしっかりと資産計画に含めなければなりません。
みなさん意外と忘れがちなのですが、一戸建てを購入してからかかる費用は下記のようなものがあります。
◎【不動産取得税】
不動産を取得した者が課税する地方税。毎年課税される固定資産税とは異なり、不動産取得税の支払いは1回だけです。
・税額の計算方法
土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 原則4%
・支払い時期と回数
不動産取得税申告を終えて半年以内に納付書が届きます。
◎【固定資産税】
毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して課せられる税金。不動産を所有している限り、支払いは毎年続きます。
・税額の計算方法
固定資産税=課税標準額(固定資産評価額)×税率(1.4%)
土地…課税標準額×税率1.4%
家屋…課税台帳に登録されている価格×税率1.4%
償却資産…課税標準額×税率1.4%
・支払い時期と回数
毎年1月1日時点で所有している資産に対して、毎年1回、または数回に分割して支払います。3年に一度、評価額(固定資産税額)の見直しがあります。支払うタイミングとしては、横浜市の場合、毎年4上旬に資産を所有している地域の自治体から納付通知書(納付書)が送付されます。
◎【都市計画税】
市街化区域内に土地・建物を所有している者に課せられる税金です。市街化区域に属さない地域であれば都市計画税は課税されません。
・税額の計算方法
固定資産税評価額×0.3%
・支払い時期と回数
固定資産税と同様に、毎年1回、または数回に分割して支払います。
◎【火災保険、地震保険】
保険料の平均額は年間1万~2万円程ですが、特約を付けた場合は、さらに保険料が高くなります。
◎【家のメンテナンス費】
家は、経年劣化とともにメンテナンスが必要です。メンテナンス費用として高額になりがちなのが壁と屋根の修繕です。外壁の塗装は100~130万円、屋根の塗装は100万円が相場です。どちらも築10年前後が目安となります。
[4] 新築一戸建て購入時にかかる諸費用(借入金額3,500万円)
3,500万円を35年返済で借りた場合の諸費用をみていきましょう。
◎設定条件
借入金額3,500万円/35年返済
土地面積100㎡/建物面積90㎡
かかる諸費用 | 金額 |
手付金 | 100万円 |
印紙代(売買・ローン契約) | 4万円 |
登記費用 | 50万円 |
住宅ローン借入費用
(融資手数料3万3,000円) |
73.3万円 |
仲介手数料 | 138.6万円 |
引っ越し費用 | 15万円 |
家具家電代 | 150万円 |
合計 | 530万円 |
※新築一戸建ての敷地面積が200m2以下の場合、土地部分の固定資産税評価額は6分の1になります。建物部分に関しては「新築住宅の税額軽減の特例」が設けられているため、新築住宅は床面積120m2以下の部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。算出することが難しいため、下記の表では固定資産税は省いています。
ざっくり見積もって530万円の諸費用になりますね。この中で最も重要なのは手付金です。他の費用は住宅ローンに組み込めるので現金で用意しなくても問題ないですが、手付金は売買契約時に現金で必要です。
[5] 貯金ゼロでも住宅ローンは組める?
組めるか組めないかで言うと、組めます。物件価格以上の借り入れをすることを「フルローン」と言いますが、何でもかんでも住宅ローンに組み込めるわけではありません。
住宅ローンに組み込めることができるものとできないものは以下の通りです。
◎住宅ローンに組み込めることができるもの
・売買契約や建築請負契約、住宅ローンを借りる契約の際の印紙税
・住宅ローンを借りる際の諸費用(融資事務手数料、住宅ローン保証料)
・登録免許税、司法書士報酬
・火災保険料
・仲介手数料
・地盤調査費用、地盤改良費用、水道負担金(注文住宅の場合)
・フラット35の場合は、住宅診断費用、太陽光発電設備の工事費などもOK
◎住宅ローンに組み込めることができないもの
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・引っ越し費用、家具家電代
フルローンはとても便利ですが、物件価格以上の借入をするということを忘れないでくださいね。返済負担率が年収の20%以内に収まっていれば問題ないかと思いますが、ちゃんと返済できるか不安な方は、親に資金援助をしてもらうか、手付金100万円と引っ越し費用数十万円を貯めてから購入するのも良いと思います。
ただし、お金が貯まってから家を購入する場合、年齢が上がって返済期間が短くなっていくデメリットもありますから、あまり長期に渡ってマイホーム購入資金を貯める、というのはおすすめしません。ある程度購入時期の目途をつけて計画的にお住まい探しを始めましょう。
[6] まとめ
家を買うのはお金がかかるのは間違いありません。ですが、ネガティブに考えすぎないでください。
家を購入するには仲介手数料や手付金などの諸費用がかかることが今回の記事でおわかりいただけたかと思います。正直、安くはないですが、ネガティブに考えすぎないでくださいね。
日本は、新築住宅購入者に優しい国です。住宅ローン控除やすまい給付金などの制度を上手に利用すれば、まとまったお金が戻ってきます。必ず現金で必要な手付金さえ用意できれば、あとは住宅ローンに組み込む方法もあります。
家を買う時の費用で悩んだら、ミツバハウジングまでお気軽にご相談ください。無理のない資金計画を立て、予算内で物件をお探しします。