マイホーム購入時にかかる諸費用と支払うタイミング

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【目次】
[1]そもそも“諸費用”って何?どのくらいかかるの?
1.不動産売買における諸費用の考え方
2.物件価格の3~10%程度の諸費用がかかる
[2]マイホーム購入時にかかる諸費用と支払うタイミング
1.不動産売買でかかる諸費用
2.住宅ローンの手続きでかかる諸費用
3.その他の費用
[3]諸費用がいくらかかるかシミュレーションしてみよう
[4]諸費用が高額になるのは仲介手数料のせい!?
[5]諸費用を住宅ローンに組み込むことは可能?注意点は?
1.住宅ローンに組み込めるものとできないものがある
2.諸費用を住宅ローンに組み込む時の注意点
[6]まとめ
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不動産の物件価格には、諸費用は含まれていません。勘違いしている方が多いのですが、頭金とは別の話です。冒頭から少し強めの言い方になりますが、頭金がなくても家は買えますが、諸費用を用意できなければ家を買えません。
そもそも諸費用とは何なのか?いくらかかるのか?意外と分かりにくい部分ですので、今回は不動産売買における諸費用について説明したいと思います!
[1]もそも“諸費用”って何?どのくらいかかるの?
諸費用とは、ざっくりいうと、仲介手数料や住宅ローンを申し込むための手数料・税金・保険料・引っ越し代などの総称です。詳しくみていきましょう。
1.不動産売買における諸費用の考え方
冒頭でも申し上げたとおり、不動産の物件価格には諸費用は含まれていません。あくまでも商品(物件)に対する価格です。
詳細は後述しますが、家を購入するときに必要な費用は下記のようなものがあります。
売買契約で必要な諸費用 |
★手付金
仲介手数料 登記登録免許税 登記登録手数料 固定資産税清算 ★印紙代 |
住宅ローンの契約で必要な諸費用 | 融資手数料
住宅ローン保証料 ★印紙代 団体信用生命保険料 火災保険料 |
その他 | 引っ越し費用
家具家電費用 |
これらはどれも重要な諸費用ではありますが、住宅ローンに組みこもうと思えばできてしまいます。
ただ、★がついている費用、「手付金」と「印紙代」については、現金で必要です。印紙代は数万円ですのでそれほど用意に困らないですが、問題は手付金です。100万円程かかる場合もありますので、いきなりポンと出せる金額ではありません。自分で現金を用意しておくか、親や祖父母に借りるなどして、事前準備をしておく必要があります。
「頭金ゼロでも買える」物件でも、手付金は現金で必要です。手付金を用意できなければ売買契約を断られることもあります。自己資金が少ない人が「家を買えるか買えないか」の分かれ目になるといっても過言ではありません。
2.物件価格の3~10%程度の諸費用がかかる
諸費用は、購入する不動産の種別によって金額が異なります。
・新築=物件金額の3~7%
・中古=物件金額の6~10% が諸費用の相場です。
一戸建ての場合は、売主が買主と直接取引する場合は、仲介手数料等は発生しません。ただ、新築一戸建ての場合は、不動産会社の仲介で購入することが多いため、売買代金の3%+6万円を上限として仲介手数料が発生します。
新築マンションは仲介手数料がかかりませんが、中古マンションにはかかります。そのため、新築よりも中古の方が諸費用は高くなると言われています。
[2]マイホーム購入時にかかる諸費用と支払うタイミング
いつどのような費用が必要なのかみていきましょう。
1.売買契約時
・手付金
手付金とは、売買契約を結ぶときに買主が売主に支払うお金のことで、売買代金の一部にあてられます。手付金の金額は売主と買主の合意によって決まるので法的な決まりはありませんが、100万円程度かかることもあります。手付金が用意できなければ契約を断られることもあります。一番重要な諸費用です。
・印紙代
売買契約の際に現金で支払います。印紙代は契約の金額によって変わりますが、物件価格が1000万円~5000万円以下の場合は、印紙代は2万円となります。
・仲介手数料
仲介手数料とは、仲介を行った不動産会社に支払う費用のことです。物件価格の3%+6万+消費税が上限とされています。売買契約時に50%を支払い、決済時に残金を支払います。一戸建ての場合は、新築・中古ともに仲介手数料が必要です。
2.決済・引き渡し
・印紙代
住宅ローンの契約書に印紙を貼って提出し、現金で支払います。印紙代、物件価格が1000万円~5000万円以下の場合は2万円となります。
・登記費用(司法書士への報酬)
登記費用とは、所有権を公的に認めてもらうための手続きのことです。自分で登記を行うことも出来ますが、とても手間がかかるため司法書士に依頼することが一般的です。すべての費用の総合計の相場は30万円~50万円、その内、約2/3程度は司法書士への報酬となります。
・登録免許税
登録免許税とは、所有権の登記を移転する際にかかる税金のことです。中古住宅を購入する場合のみ課税されます。建物は固定資産税評価額の0.3%、土地は1.5%の税金が必要です。
・固定資産税や都市計画税(日割)
所有権移転日以降から固定資産税が発生します。購入した日から日割りで計算した金額を売り主に支払います。相場は、固定資産税評価額×1.4%となります。
3.その他の費用
・引っ越し費用
引っ越し先の距離や荷物の数にもよりますが、引っ越し費は5~12万が相場です。2~3月のハイシーズンともなれば費用はさらに高額になります。現金で支払うことが多いですが、中にはクレジットカードの支払いに対応している開発もあるそうです。
・家具家電代
新居に置く家具や家電の費用は、80~150万円程必要と言われています。
購入後にかかる費用(ランニングコスト)については今回の記事のテーマから逸れてしまうので、こちらの記事をご一読ください。
知らなかった!はNG マイホーム購入後にかかる費用
[3]諸費用がいくらかかるかシミュレーションしてみよう
諸費用がいくらかかるのか、シミュレーションしてみましょう。
設定条件
共通:住宅ローン借入金額3,500万円/35年返済
新築一戸建て:土地面積100㎡/建物面積90㎡
中古一戸建て:土地面積120㎡/建物面積95㎡
諸費用 | 新築一戸建て | 中古一戸建て |
手付金 | 100万円 | 100万円 |
印紙代(売買・ローン契約) | 3万円 | 3万円 |
登記費用 | 36万円 | 42万円 |
住宅ローン借入費用
(融資手数料3万3,000円) |
73.3万円 | 73.3万円 |
仲介手数料 | 138.6万円 | 138.6万円 |
固定資産税 清算金 | 0円 | 15万円 |
引っ越し費用 | 15万円 | 15万円 |
家具家電代 | 150万円 | 150万円 |
合計 | 515万円 | 536.9万円 |
[4]諸費用が高額になるのは仲介手数料のせい!?
仲介手数料のせいで諸費用が高くなった!仲介手数料が高すぎる!と思う方は多いことでしょう。
確かに、仲介手数料は高いです。ただ、仲介手数料のせいで諸費用が高くなった!仲介手数料が憎い!払いたくない!とネガティブなイメージを持たないで欲しいな、という思いはあります。
不動産会社は、物件の販売開始から成約に至るまで様々な販売活動をしています。物件の広告作成や不動産情報サイトへの掲載、ポスティング、購入希望者に物件案内、売買契約書の作成などです。これらには多額の人的コスト・金銭的コストがかかります。仲介手数料は、売却を成功させるための大切なコストとお考えいただけたらと思います。
また、仲介手数料は、不動産会社の収入源という考え方もありますね。
不動産会社の中には「仲介手数料無料」と宣伝しているところもあります。なぜ無料のところとそうでないところがあるのか、収入源なのに無料にして大丈夫なのか、不思議に思いませんか?
払わなくてもいいお金なら払いたくないと思うのが人情。しかし、仲介手数料は無料であれば良いというものではありません。
以前「仲介手数料とは?【仲介手数料無料の仕組み】」の記事でも解説したことがあるのですが、仲介手数料にバラつきがある理由にはちょっとしたカラクリがあります。
売主または買主どちらかの仲介手数料を無料にすることを「片手取引」といい、両方と仲介取引を行うものを「両手取引」といいます。
売主の仲介手数料を無料にできる理由は、買主から仲介手数料を受け取って、片手取引をしているからです。この場合、他社で売買が成立したら買主からの仲介手数料をもらえなくなるので、不動産会社は何が何でも買主を見つけようとします。いわゆる「囲い込み」です。囲い込みとは、他社に物件の案内をしないことをいいます。
囲い込みが起こると、売却のチャンスが狭まります。仲介手数料を支払った方が、物件が早く高く売れて、結果的には得することも多いのです。買主側ならともかく、売主側にとって仲介手数料無料はリスクが大きいかと思います。
中には仲介手数料を無料にする代わりに、後から広告費を請求されるケースありますので、売主側の仲介手数料無料という会社を選ぶ場合は、自分が支払う費用はどこからどこまでなのか、後から請求される費用はないのか、必ず確認しておきましょう。
[5]諸費用を住宅ローンに組み込むことは可能?注意点は?
物件価格よりも多めに住宅ローンを借りて、諸費用や家具などを購入する方法もあります。自己資金が少ない方にはかなり便利な方法に思えますが、利用する場合には注意点もあります。
1.住宅ローンに組み込めるものとできないものがある
住宅ローンに組み込めることができるものとできないものは、以下のとおりです。
【住宅ローンに組み込めることができるもの】
・売買契約や建築請負契約、住宅ローンを借りる契約の際の印紙税
・住宅ローンを借りる際の諸費用(融資事務手数料、住宅ローン保証料)
・登録免許税、司法書士報酬
・火災保険料
・仲介手数料
・地盤調査費用、地盤改良費用、水道負担金(注文住宅の場合)
・フラット35の場合は、住宅診断費用、太陽光発電設備の工事費などもOK
【住宅ローンに組み込めることができないもの】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・引っ越し費用、家具家電代
ちなみに、手付金を住宅ローンに組み込むというのは難しいとお考えください。なぜなら、先述したとおり、手付金は売買契約時に現金で支払うからです。住宅ローンに組み込んだとしても売買契約時には間に合いません。手付金が用意できない場合の対応策は、親からお金を借りて手付金を支払い、引渡しの日に通帳に振り込まれた手付金を親に返す、という方法を取る人が多いようです。
2.諸費用を住宅ローンに組み込む時の注意点
「お金を多めに借りる=月々の返済額が高くなる」ことを忘れてはいけません。
返済額は年収の35%をオーバーすると生活が苦しくなる可能性が高いため、年収の20%程度に抑えておくのが理想です。たとえば、年収500万円の場合は、月々の返済額83,000円程度となります。
少しでも諸費用を住宅ローンに組み込むことに対して不安があるのであれば、手付金と引っ越し費用を合わせた120万円程の自己資金を貯めてからマイホームを購入するか、親や祖父母から資金援助をお願いするなどを検討してみてください。
借りすぎは失敗の元です。借りられればOKというものではありません。本当に返していけるのか、しっかりと考えてくださいね。
ご好評をいただいている記事です。ぜひご一読ください。
【借りすぎは危険】後悔しない住宅ローンの組み方
[6] まとめ
諸経費の中で絶対必要なのは手付金!!用意できない場合は親から借りるかフルローンという手も。
諸費用の目安は、3,000万円の物件なら、おおよそ90~240万円。さらに、手付金も含めると、1割以上の諸費用は必要になるでしょう。その中でも絶対に必要な費用は手付金です。これは何が何でも用意してください。これさえ用意できれば他の諸費用を住宅ローンに組み込む方法もありますから。
また、「何かカットできる費用はないかな?」と考えた時に思い浮かべるのは、仲介手数料ですが、タダほど怖いものはないという意識も持っておきましょう。囲い込みによって物件が売れにくくなる可能性があるので、「売主側の仲介手数料無料」という甘い言葉にはすぐ乗らず、慎重にご検討ください。
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