衝動買いはNG!家を購入するタイミングと注意すべきこと
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【目次】
[1]家を購入するまでの流れ
[2]家を買うタイミングはいつがベスト?
1.年齢で考える買い時
2.年収や購入資金で考える買い時
3.結婚や出産などのライフステージで考える買い時
[3]購入するときに悩むことその1:新築か中古か
1.それぞれのメリットデメリット
2.費用面の違い
[4]購入するときに悩むことその2:一戸建かマンションか
1.それぞれのメリットデメリット
2.費用面の違い
[5]家を購入するときに注意すべきこと
1.「よし!買っちゃえ!」勢いで買うのはNG!
2.自己資金をすべて使い切らない
[6]まとめ
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ポストに投函された不動産のチラシを見て、「うちもそろそろ家を買いたいな」と考えたり、友達や同僚から家を買ったという話が刺激になって自分も家を買いたくなったり、近所に新築の分譲住宅が建っているのを見ていいなあと思ったり…日常には「家を買おうと考えるタイミング」が潜んでいます。
ただ、勢いに任せて家を買うことはおすすめできません。今回の記事では、家を買うタイミングはいつがベストなのか、年齢や年収、ライフステージなど様々なポイントでの家を買うタイミングについて解説したいと思います。
それに加えて、家を購入するときに注意すべきことも解説しますので、今何となく家を買おうかな、とお考えの方の参考になれば幸いです。
[1] 家を購入するまでの流れ
まずは、家を購入するまでの流れをみていきましょう!ここでは、新築建売住宅を例に、購入までの流れを紹介します。主に10ステップです。
1.自分の住宅予算を調べる・資金計画を立てる
「あれ?まずは物件探しから始めるんじゃないの?」と思いましたか?実際に家を買おう!と決めたとき、不動産の物件検索サイトで家探しをされる方は多いと思います。しかし、その方法はおすすめしないどころか、失敗する可能性が高くなるのでやめてください。自分がどのくらいの家を買えるのかも分からないうちに物件探しをスタートさせてしまうのはかなり危険です。まずは自分の住宅予算を知り、資金計画を立ててから物件探しを始めましょう。
参考記事:私の年収で、いくらの家を買える?「上限予算」と「支払い希望予算」を知ろう!
2.物件探し
自分の住宅予算が分かったら、いよいよ物件探しに入ります。建売住宅は注文住宅と異なり、間取りや設備の仕様は選ぶことができません。完成された(または、これから完成される)物件から自分に合ったものを選びます。物件に対する希望条件が多すぎると物件探しにかなり時間がかかってしまうので、優先順位を多くても5つぐらいピックアップしておくとスムーズに進みます。
3.物件見学
気になる物件が見つかったら、物件見学(内覧)をします。気になる点はうやむやにせず、営業担当者にどんどん確認しましょう。こだわりすぎて買えなくなるのも困りますが、何千万という高い買い物をするのですから、不安な点はあやふやにせず確認しましょう。
参考記事:何をチェックしたらいいの?物件見学で見るべきポイント
4.購入申し込みと住宅ローンの事前審査
購入したい物件が決定したら、購入の申し込みをします。購入の申し込みは一般的に無料ですが、売主によっては10万円程の申込金を支払うこともあります。
そして、購入の申し込みと同時に、住宅ローンの事前審査を行います。住宅ローンには、事前審査と本審査の二段階の審査があり、事前審査は、申込者に住宅ローンの返済能力があるかを判断します。
参考記事:住宅ローンの事前審査で落とされる理由【対策も紹介します!】
5.不動産売買契約
宅地建物取引主任者による「重要事項の説明」を受け、問題がなければ不動産売買契約を結びます。契約の際には手付金(売買代金の5~10%)を支払います。
手付金の目安は、完成物件は10%、未完成物件は5%です。手付金以外にも仲介手数料や契約印紙代なども必要です。
参考記事:仲介手数料とは?「仲介手数料無料」の仕組みについても解説!
6.住宅ローン本審査、契約
不動産売買契約を締結したら、住宅ローンの本審査を申し込みます。事前審査に通ったからといって必ずしも本審査も通るとも限りません。審査に落ちる確率としては5%と低いですが、必要書類の準備や段取りなど、最後まで気を抜かないようにしましょう。
7.登記の準備
新築一戸建ての場合、行わなければならない登記は、「建物表題登記」、「所有権移転登記」、「所有権保存登記」、「抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合は必要)」の4種類あります。自分で登記を行うことも出来ますが、とても手間がかかるため司法書士に依頼することがほとんどです。引き渡しの前に、登記を依頼する司法書士に登記の際に必要な書類を送付しましょう。
8.物件の立ち合い
住宅ローン本審査の承認を得られたら引渡しとなりますが、その前に物件の立ち合い(内覧会)があります。汚れや損傷がないかなどを確認します。
9.引き渡し
売主、買主、司法書士が住宅ローンを借入する金融機関に集まり、引き渡しの手続きを行います。残代金と諸費用(登記費用・銀行への費用・火災保険料)を支払いが完了した後、司法書士が所有権移転登記の申請を行います。
10.いよいよ入居!
残代金決済後(引き渡し以降)、物件の所有者は買主となります。入居に向けて引っ越しの準備を始めます。
[2] 家を買うタイミングはいつがベスト?
家を買うタイミングはいつが良いのでしょうか。主に年齢や年収、ライフステージ、この3つのタイミングについて考えてみたいと思います。
1.年齢で考える買い時
年収が上がってから家を購入しようとお考えの方も多いかと思いますが、若くて働き盛りの世代から住宅ローンを組んだ方が良いケースもあります。
なぜなら、多くの民間金融機関では完済時の年齢を80歳としているため、40半ばを過ぎると住宅ローンの審査に通りにくくなることがあるからです。
さらに、住宅ローンを組む上で必須条件ともいえる団体信用生命保険(以下、団信)に加入できない可能性も出てきます。フラット35のように団信への加入を必須としていない住宅ローン以外、団信の加入は必須です。たとえ年収が高くても、団信に加入できなければ住宅ローンを組めません。家を買うとき、年収も大事ですが、年齢や健康も考えておきましょう。
2.年収や購入資金で考える買い時
次に、年収による買い時を考えてみましょう。
令和2年9月に発表された国税庁の民間給与実態調査によると、日本人の平均年収は436万円。男性が400 万円超 500 万円以下が 524 万人(構成比 17.8%)、女性は 100 万円超 200 万円以下の者が 495 万人(同 23.8%)というデータが出ています。
このデータによると、分譲戸建てを購入した世帯の平均年収は738万円、分譲マンションは840万円となっています。平均年収※の436万円に対してかなり上回っていることが分かります。
参考:リクルート住まいカンパニー『住宅購入・建築検討者』調査(2019年度)
※令和2年9月に発表された国税庁の民間給与実態調査によると、日本人の平均年収は436万円。男性が400 万円超 500 万円以下が 524 万人(構成比 17.8%)、女性は 100 万円超 200 万円以下の者が 495 万人(同 23.8%)というデータが出ています。
「住宅ローンの借入額の目安は、年収の5倍または8倍」という意見もありますが、これはあくまで目安にすぎません。年収が低いと家が買えないのでは、とあきらめてしまいがちですが、平均年収よりも少ない年収300万円だとしても家は買えます。むしろ一生賃貸でいるよりも住宅にかける費用を抑えられる場合もあるので、ぜひ一度ご自分の住宅予算を調べてみてください。
参考記事:年収300万円だけど家を買いたい!でもギリギリの生活にはしたくない!
私の年収で、いくらの家を買える?「上限予算」と「支払い希望予算」を知ろう!
3.結婚や出産などのライフステージで考える買い時
リクルート住まいカンパニー『住宅購入・建築検討者』調査(2019年度)では、家を購入したきっかけは、結婚のタイミングが一番多いというデータが出ています。
ちなみに、弊社で物件探しをされたお客様で、家を買う理由(きっかけ)として多いのは、下記の3つです。
1.結婚
2.出産
3.子どもが独立した
やはり、結婚や出産、子どもの独立などの人生における大きな転機に家を買う方が多いですね。しかし、持ち家は賃貸のように簡単には住み替えはできないので、ライフプランを見据えた上で家を購入する時期を検討しましょう。
[3]購入するときに悩むことその1:新築か中古か
いざ家を買うことを決意したとき、悩む方が多いのが「新築か中古か」。金銭面と生活面でそれぞれ比較してみましょう。
1.それぞれのメリットデメリット
新築と中古、それぞれのメリットデメリットは下記のとおりです。
メリット | デメリット | |
新築
|
・最新の設備や構造が使われている
・税制面での優遇制度がある ・注文住宅の場合は間取りなどの自由度が高い |
・中古よりも価格が高いことが多い
・建売の場合、実際に住むときのイメージがしにくい ・物件の選択肢が少ない(希望条件に合わないことがある) |
中古
|
・新築よりも価格が安いことが多い
・物件数が新築よりも豊富 ・リノベーションなどでこだわりたい部分に予算をかけられる |
・新築よりも早めに修繕時期がくる
・仲介手数料がかかる ・税制面での優遇面が新築よりも少ない |
2.費用面の違い
新築と中古でかかる費用の差を分けるのは、主に下記の3つです。
1.仲介手数料
2.不動産取得税や登録免許税、固定資産税などの税制面の優遇 3.修繕積立基金(新築マンションの場合) |
大きなポイントは、仲介手数料の有無です。4,000万円の家を購入する場合、仲介手数料は139万円ほどかかります。ただ、一戸建ての場合は、新築・中古ともに仲介手数料が必要ですが、新築マンションの場合は通常、仲介手数料がかかりません。
参考記事:仲介手数料とは?「仲介手数料無料」の仕組みについても解説!
[4]購入するときに悩むことその2:一戸建てかマンションか
続いて多いお悩み、「一戸建てかマンションか」についてです。
1.それぞれのメリットデメリット
一戸建てとマンション、それぞれのメリットデメリットは下記のとおりです。
メリット | デメリット | |
一戸建て
|
・自由度が高い(ペットの飼育やリフォームなど)
・生活音などをさほど気にせず生活できる ・プライバシー性が高い ・マンションより住居が広い場合が多い ・管理費・修繕費・駐車場代がかからない |
・住宅のメンテナンスや将来的な修繕費を貯めておく必要がある
・購入時の費用や固定資産税がマンションよりも高い ・駅から離れた立地、バス便の物件が多い ・侵入経路が多いため、防犯面を自分で強化しなければならない ・耐用年数がマンションよりも短い(木造の一戸建ての場合22年) |
マンション
|
・駅近の物件が多く、利便性が高い
・共用部分の掃除や管理は管理会社がやってくれる ・セキュリティ面が優れている ・ワンフロアなので移動がラク ・火災や地震に強い ・耐用年数が一戸建てよりも長い(47年) |
・上下左右の住戸に対して、生活音に対する配慮が必要
・一戸建てよりも狭い物件が多い ・管理費、修繕積立金がかかる ・駐車場を利用するならそのコストもかかる ・ペットの飼育、共有部分の利用に制限がある |
2.費用面で比較
一戸建てとマンションの生涯コスト(30年間)を比べてみましょう。
物件の条件 ・建物面積:150㎡ ・新築時の評価価格(一戸建ては土地含む):5,000万円 |
コスト項目 | 一戸建て | マンション |
管理費 | なし | 540万円 |
修繕積立金(家の修繕費用) | なし(自分で貯めておく必要がある) | 200万円 |
駐車場代 | なし | 600万円 |
税金 | 300万円 | 200万円 |
火災保険 | 80万円 | 60万円 |
一戸建てとマンションの費用面を比較する際にポイントとなるのが家の修繕費用です。
一戸建ての場合、築20年を経過した頃から、屋根や外壁などの修繕が必要になります。家の修繕工事はひとつひとつが高額のため、一度の工事で百万単位のお金がかかることも珍しくありません。強制的にかかる費用ではないので後回しにしがちな部分ではありますが、将来的に何らかの修繕が必要になることは間違いないですから、自分で修繕費を貯めておく必要があります。
一方、マンションの場合は、共用部分の修繕なら毎月支払っている修繕積立金が工事費用に充てられます。しかし、一戸建て同様、家の中の修繕は自分で行います。キッチンやお風呂、壁紙などの修繕工事は将来的に必要になるので、マンションも将来的な貯蓄は必要です。
[5]家を購入するときに注意すべきこと
家を買うことを決めたら、どのようなことに注意するべきなのでしょうか。
1.「よし!買っちゃえ!」勢いで買うのはNG!
友達や同僚からマイホームを買ったという話を聞いて「うちもそろそろ買おうかな」と影響を受ける方も少なくないでしょう。
SNSなどでお洒落な家を見た時なども、マイホーム購入を意識するきっかけになることも多いと思います。そんな時、新築マンションのキレイなモデルルームでも見学したらつい勢いで「よし!買っちゃえ!」となるかもしれません。
マイホーム購入を決意するきっかけは人それぞれですが、何千万という高額な買い物を勢いだけで決めるのはおすすめしません。勢いというのは大事ですが、物件のメリットデメリットや将来を見据えた資金計画を立ててから、本当に買っても問題がないのかしっかりと検討した上で購入を決断してください。
優良物件を効率的にゲットした方はこちらの記事を参考にしてください。
「優良物件」を効率的に見つける探し方を教えます
物件見学に行く際はこちらの記事を参考にチェックしてみてください。
物件見学時にチェックしたい周辺環境とは
2.自己資金をすべて使い切らない
当コラムでは、何度も住宅予算について解説しています。なぜ何度も解説しているのかというと、家を買うときに「家を購入するときの予算」しか考えていない方が多いからです。
そして、「自己資金=頭金」と思っている方も多いです。家を買うためにはある程度の自己資金は必要ですし、頭金があれば住宅ローンの借入金額も減らすことができます。考え方としては間違っていないのですが、貯金をすべて頭金に使い切って「貯金ゼロから新生活をスタート」というのはリスクが大きすぎます。
家を買うには物件価格のほかに、契約時に必要な初期費用、仲介手数料、引っ越し代など物件価格以外にも様々なお金がかかるので、頭金の他にもお金が必要です。また、マイホーム購入後に必要なお金のことも考えておきましょう。
固定資産税や家の修繕費などはもちろんですが、日々幸せに暮らすためのお金も必要です。外食やレジャー費、娯楽のために使うお金、お子様の教育費、万が一の時の費用など、ある程度のお金は残していくようにしてくださいね。
参考記事:家を買ったら貯金ゼロ!?その「住宅予算」で本当に生活できますか?
[6] まとめ
勢いは大事。でも、家は衝動買いするものではありません。
まわりも家を買い始めたし、うちもそろそろ…と何となく探した物件を何となく見学して、営業マンに「人気の物件なので早く決めないと売れてしまいますよ」と押し切られ、「よし!買っちゃおう!」と購入を決断することもあるかもしれません。買った後に後悔しなければ良いのですが、よく調べもせず勢いに任せて家を探して衝動買いするのはおすすめできません。
「うちもそろそろ…」と思ったら、まずは自分がいくらの家を買えるのか住宅予算を調べましょう。物件探しはそれからです。
家は衝動買いするものでもありませんし、買うべきタイミングは人それぞれです。今回の記事でご紹介した年収や年齢などの家を買うタイミングは参考程度に、まずは資金面の計画を立ててからタイミングを考えてみてくださいね。