「年収400万円」の人は住宅ローンをどう組む?

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【目次】
[1]日本人の平均年収は約436万円
[2]年収400万円の人の住宅ローンの組み方
1.月々の返済額を10万円未満に抑える
2.年収400万円と399万円では借入可能額は大きく異なる
3.返済負担率は年収400万を超えると変わる
4.マイカーローンや他の借入がある場合は要注意
[3]年収400万円の借入限度額と返済額
1.年収400万円の借入限度額
2.3,000万円の住宅ローンを組んだときの返済額
[4]住宅ローンを組んでギリギリの生活にならない3つのポイント
1.限度額ギリギリまで借りない・貯蓄を使いきらない
2.減税制度を上手く活用する
3.住宅ローン以外のコストも計算に入れておく
[5]まとめ
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みんな年収いくらぐらいで住宅ローンを組んでいるのか、いくらまで借りられるのか、借りた後はギリギリの生活になっていないのか…など、マイホームを購入するときは不安がいっぱいですよね。
今回の記事では、日本人の平均年収である400万円の人が住宅ローンを組みたい場合、返済額はいくらになるのか、ギリギリの生活にならないためには何を注意すればよいのかなど、年収400万円の人の住宅ローンの組み方についてじっくりと解説したいと思います。
[1]日本人の平均年収は約436万円
令和2年9月に発表された国税庁の民間給与実態調査によると、令和元年における日本人の平均年収は436万円だそうです。
日本の平均年収の推移
平均年収 | 対前年伸び率 | |
平成19年度 | 437万円 | 0.5% |
平成20年度 | 430万円 | -1.7% |
平成21年度 | 406万円 | -5.5% |
平成22年度 | 412万円 | 1.5% |
平成23年度 | 409万円 | -0.7% |
平成24年度 | 408万円 | -0.2% |
平成25年度 | 414万円 | 1.4% |
平成26年度 | 415万円 | 0.3% |
平成27年度 | 420万円 | 1.3% |
平成28年度 | 422万円 | 0.3% |
平成29年度 | 432万円 | 2.5% |
平成30年度 | 441万円 | 2.0% |
参考:国税庁 民間給与実態調査
リーマンショック直後の平成21年度以前の水準まで戻っていますが、新型コロナウイルスの影響によって今後どのような動きがあるのか気になるところです。
[2]年収400万円の人の住宅ローンの組み方
平均年収に近い、年収400万円の人が住宅ローンを組む場合、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
1.月々の返済額を10万円未満に抑える
年収400万円の人は、最大でも毎月の住宅ローン返済額を10万円未満に抑えることをおすすめします。
年収400万円の場合、約2割が税金で引かれるので、手取りは320万円ほど。12ヶ月で割ると毎月26万6,000円の収入となります(ボーナスは含まない)。
この収入から生活費、光熱費の支払いがあるので、住宅ローンの返済に充てられるのは10万円未満になるかと思います。
返済額は年収の35%をオーバーすると生活が苦しくなる可能性が高いため、月々の返済額は10万円未満を目安に考えておくと良いでしょう。ボーナスが出る企業にお勤めであっても、今後絶対にボーナスが支給されるとは限りません。ボーナスは余裕があるときに繰り上げ返済に充てる程度に考えておいてください。
2.年収400万円と399万円では借入可能額は大きく異なる
たった1万円の差ですが、年収400万円と399万円では住宅ローンの借入可能額は大きく変わります。
金利を2.8%で住宅ローンを組んだ場合
年収400万円:3,121万円
年収399万円:2,668万円
なんと、借入可能額は453万円の差が出ます。
たった1万円の差ですが、自分の年収から借入可能額を考えるとき、「ざっと400万円かな~」と計算してしまうのは危険です。3,121万円の家が買えるのか2,668万円買えるのか、この差はかなり大きいですから、資産計画を立てる際はざっくりとではなく、細かく計算をしましょう。自分では計算が難しい…という方はぜひミツバハウジングまで一度ご相談ください。
3.返済負担率は年収400万を超えると変わる
返済負担率とは、住宅ローンの返済を年間でいくら充てるかを示した割合のことです。
住宅ローンの審査を受ける際、返済負担率も審査の対象となります。返済負担率の基準値は各金融機関によって異なりますが、基準値をオーバーすると審査に通らない可能性が高くなります。
返済負担率は年収400万円を境に変わることが多く、たとえばフラット35の場合は年収400万円で35%の返済負担率ですが、年収400万円未満の場合は30%となります。
4.マイカーローンや他の借入がある場合は要注意
金融機関が返済負担額を計算する際は、住宅ローンの返済額だけで計算しません。マイカーローン、クレジットカードのキャッシング枠、リボ払い、奨学金、カードローンなどの借入も含めて計算されます。
そのため、住宅ローンの返済額に加えてこれらの借入も返済しなければならないとなると、住宅ローンの返済に充てられる金額が少なくなるため、事前審査に落ちる可能性が高くなります。
できれば、住宅ローンの審査前に完済できるものはしておきましょう。同時にすべての借入を完済しろというのは難しいでしょうから、リボ払いなどの高利子の借入から優先的に完済しておくことをおすすめします。優先順位としては、金融機関があまり良い印象を受けない借入が先です。たとえばショッピングなどに使ったクレジットカードのキャッシング枠、リボ払いなど。奨学金やマイカーローンはその次に完済できればしておきます。
なぜ優先順位をつけるのかというと、審査する側も人間だからです。どんな目的で借入をしたかによっても受け取り方が変わってくる可能性があります。
こちらの記事も参考にしてください。
住宅ローンの事前審査で落とされる理由【対策も紹介します!】
[3]年収400万円の借入限度額と返済額
それでは、年収400万円の人はいくら住宅ローンを借りることができるのか、実際に3,000万円の住宅ローンを組んだとしたら返済額はいくらになるのかシミュレーションしてみましょう。
1.年収400万円の借入限度額
年収400万円の人はいくら住宅ローンを借りることができるのか、頭金の頭金0~500万円で下記にまとめました。
【設定条件】
年収:400万円
月々の返済額8万3,000円
借主の年齢:30歳
返済期間:35年 返済金利2%
頭金 | 0 | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
借入限度額 | 2,506 | |||||
借入限度額(借入限度額
+頭金-諸費用)(新築) |
2,405 | 2,505 | 2,605 | 2,705 | 2,805 | 2,905 |
借入限度額(借入限度額
+頭金-諸費用)(中古) |
2,280 | 2,380 | 2,480 | 2,580 | 2,680 | 2,780 |
※単位:万円
※諸費用は新築物件4%、中古物件9%で計算
一般的に、無理なく住宅ローンの返済ができる借入限度額は、年収の5~6倍程度だといわれています。年収400万円の場合は2,000~2,500万円です。
昔は頭金がないと住宅ローンを組めないといわれていた時代もありましたが、現代では頭金ゼロで住宅ローンを組む方も少なくありません。しかし、借入限度額を増やしたいということであれば、頭金を多く用意すれば借入限度額も多くなりますので、検討されてみてはいかがでしょうか。
2.3,000万円の住宅ローンを組んだときの返済額
35年返済、固定金利1.27%で3,000万円の住宅ローンを組んだときの月々の返済額は、8万9,000円になります。
選ぶ金利によっても返済額は変わります。
上記は35年返済、固定金利1.27%ですが、この場合は
月々の返済額:8万9,000円
総返済額:3,718万円
同条件で金利1.62%を選択すると
月々の返済額:9万4,000円
総返済額:3,933万円
ここ数年は超低金利時代といわれていますが、今後金利が上がれば返済額も高くなります。上記のように金利が数パーセント上がっただけで編差額に大きな影響を及ぼしますので、金利を選択するときは慎重に検討してください。
金利の選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。
変動金利に向いている人・向かない人【金利が上昇したらどうなる?】
[4]住宅ローンを組んでギリギリの生活にならない3つのポイント
住宅ローンに通ったとしても、その後の生活がギリギリの生活になるのは避けたいですよね。どのようなことに注意すればよいのか考えてみましょう。
1.限度額ギリギリまで借りない・貯蓄を使いきらない
やはり、これに尽きます。無理をしないことが鉄則です。目先のことだけにとらわれず、長い目でみて無理のない返済額か考えましょう。
年収400万円の場合は、最大でも毎月の住宅ローン返済額を10万円未満抑えることがポイントだと先述しましたが、たとえ10万円未満におさまったとしても、支出が多いご家庭ならば家計は苦しくなります。年収からみる借入限度額や住宅予算などはあくまでも目安ですので、絶対にネットなどの試算表を鵜呑みにして物件探しをしないでください。
また、家の購入のために貯蓄をすべて住宅資金に充てるというのもおすすめしません。人生何が起こるか分かりません。万が一の事態に備えて下記の費用は貯蓄から差し引いておきましょう。
・入居費用:新築住宅の場合、必要最低限の家具購入費は50万円程度必要。
・緊急時用の貯蓄:急な支出に備えるための貯蓄。生活費の3カ月~半年分が目安。 ・将来のための貯蓄:お子さまの教育費やマイカー購入資金など。 |
買える物件価格をUPさせたい!という方は下記の記事を参考にしてください。
家を買ったら貯金ゼロ!?その「住宅予算」で本当に生活できますか?
2.減税制度を上手く活用する
国はマイホームを購入した人に対して様々な優遇制度を設けています。適用条件を満たしていればかなり得をする減税制度もありますので、利用しない手はありません。
マイホーム購入した人が利用できる優遇制度として代表的なものは「住宅ローン控除」と「すまい給付金」です。
◎住宅ローン控除
住宅ローン控除は、10 年以上の住宅ローンを利用して住宅購入またはリフォームする人を対象とした優遇制度です。この制度が適用されると、年末時点の住宅ローン残高の1%相当額を10年間に渡り所得税から控除されます。(原則として最大400万円の上限があります)
(例)4,000万円の住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合
控除額=住宅ローン残高:4,000万円×控除額:1.0%=40万円
あくまでも概算額になりますが、住宅ローン控除の減税額を下記にまとめましたので参考にしてください。
借入額2,500万円~3,500万円の場合 | ||||
年収 | 配偶者控除 | 2,500万円 | 3,000万円 | 3,500万円 |
400万円 | あり | 138.9万円 | 138.9万円 | 138.9万円 |
なし | 204.5万円 | 222.5万円 | 228.9万円 | |
500万円 | あり | 201.1万円 | 218.3万円 | 225.1万円 |
なし | 214.6万円 | 254.8万円 | 281.8万円 |
◎すまい給付金
すまい給付金とは、増税による住宅購入者の負担を軽減するために創設された制度です。住宅購入者の年収に応じて現金を給付されます。
すまい給付金の支給額は以下のとおりです。
給付金の額(消費税10%)
年収450万円以下…50万円
年収525万円以下…40万円
年収600万円以下…30万円
年収675万円以下…20万円
年収775万円以下…10万円
住宅ローン控除やすまい給付金を受けるための条件や計算方法など、こちらの記事で詳しく解説しています。
3.住宅ローン以外のコストも計算に入れておく
マイホームの購入を検討するときには、住宅ローン以外にも、ランニングコストのこともあわせて考えることが大切です。
ランニングコストには、不動産取得税のように1回だけ払うものもあれば、マイホームを所有している間はずっと支払わなければならない固定資産税などもあります。
また、家のメンテナンス費ことも考えておく必要があります。一般的に、築10年を過ぎた頃に家のメンテナンスが必要になるといわれていますが、自然災害などにより10年未満でメンテナンスが必要になる可能性もありますので、日頃からコツコツとメンテナンス費を貯めておきましょう。毎月2万円程、メンテナンス貯金をしておくといざという時に安心ですし、家計にも負担が少ないですよ。
ランニングコストについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
知らなかった!はNG マイホーム購入後にかかる費用
[5] まとめ
平均年収=みんなと同じ とは限らない
記事内でも解説したとおり、年収400万円と399万円の借入可能額は453万円も差が出ます。くれぐれも「平均年収ということはみんなこのぐらいの年収で住宅ローンを組んでいるのだから、自分も余裕、余裕♪」なんて安易に考えないでくださいね。年収は同じでも家庭によって支出は違うので、平均年収だからみんなと同じように住宅ローンが組める、とは限らないのです。たった1万円年収が違うだけでも453万円も借入限度額に差が出るのですから、慎重に資金計画を立てて安全な住宅予算を見つけましょう。ミツバハウジングが全力でサポートいたします。