建売住宅の基礎知識と購入するときの注意点

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【目次】
[1]建売住宅の基礎知識
1.そもそも建売住宅って何?
2.建売住宅のメリットデメリット
3.建売住宅の販売方法の種類
4.建売住宅の購入までの流れ
[2]建売住宅を購入するときの注意点
1.優先順位をピックアップしておく
2.建物ばかりではなく周辺環境も重視する
3.どこまで価格に含まれているのかを確認する
4.図面や書類がきちんとそろっているかチェック!
5.引渡し前の立会い時は不具合がないかしっかりチェックする
[3]まとめ
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みなさんは、マイホームと聞くと何をイメージしますか?おそらく、住宅地に並んだ新築一戸建て(建売住宅)ではないでしょうか。
そんな建売住宅、販売方法やメリットデメリット、購入するときの注意点など、意外と知らないことがあったりします。今回は建売住宅について詳しくお話したいと思います。購入を検討されている方は必読です!
[1]建売住宅の基礎知識
まずは、建売住宅の基礎知識からご説明します。
1.そもそも建売住宅って何?
建売住宅とは、ざっくり言うと「土地と建物がセットになった一戸建て」です。
洋服で例えると、注文住宅がオーダーメイドなら建売住宅は既製品です。建売住宅は購入者の意向は取り入れられませんが、その分価格が安く、購入する段取りも簡単。注文住宅に比べて手間がかからずリーズナブルにマイホームが手に入ります。
建売住宅がリーズナブルなのはなぜか?その理由は、販売方法にあります。
建売住宅は、大きな土地を区切って複数の住宅を一気に建築します。一気に建築することにより人件費や材料の費用も抑えられるため、販売価格をリーズナブルに設定できるというわけです。
ちなみに、建売住宅は価格が安いのでグレードが低いというイメージをお持ちの方は多いかもしれませんが、材料の費用を抑えたからといって、必ずしも建売住宅のグレードが落ちるわけではありません。土地代や人件費を抑えた分、住宅のグレードが高い建売住宅もあります。
2.建売住宅のメリットデメリット
次に、建売住宅のメリットデメリットをみていきましょう。
建売住宅のメリット ・注文住宅より物件価格がリーズナブル ・土地+建物の合計した価格なので分かりやすい ・グレードが高い建売住宅も存在する ・完成済の物件を見て購入を検討できる ・契約から入居までがスピーディー 建売住宅のデメリット |
建売住宅は、価格がリーズナブルなことが大きなメリットですが、完成済の住宅を見て購入を検討できる点、契約から入居までの段取りが注文住宅よりも簡単で、入居までの期間がスピーディーであることもおすすめポイントです。
一方で、注文住宅のように、「完成までの過程を見守る」ことはできないため、家が完成するまでの過程をこの目で確認しないと安心できないという方や、自分の希望通りの家を建てたいという方には建売住宅は向いていません。「既製品の中から自分の希望に近いものを選ぶ」という感覚になります。
建売住宅も注文住宅もそれぞれに良さはあります。入居するまでの手間や時間を短縮したいのか、リーズナブルに家を買いたいのか、家づくりにこだわりたいのか、何を優先したいのかを考えて選んでみてください。
3.建売住宅の販売方法の種類
建売住宅の販売方法は、主に下記の3つの方法があります。
1.建物が完成する前に売る
最近の建売住宅の販売方法で一番多いケースです。建売住宅といえばこの販売方法を思い浮かべる方は多いかもしれませんね。この販売方法は、購入者が決まるよりも先に、建物の設計・建築が始まります。購入希望者は、建築途中の建物を見ながら、購入するかどうかを検討します。
2.建物が完成してから売る
完成物件を見て、購入希望者が買うかどうかを検討する方法です。完成済の物件を見て決めることができるので、購入者にとってはメリットがある方法です。ただ、実際に売主が「完成してから販売を開始しよう」と考えているケースは少なく、未完成の時から販売を開始していることが多い様です。
3.買主の希望に応じて多少のプラン変更ができる
建売住宅の概念を覆してしまう方法ではありますが、クロスや外壁の素材など、買主の希望に応じてプラン変更できる建売住宅も存在します。もちろん、注文住宅のようにすべて希望通りとはいかないので、「選択肢が多少増える」程度の間隔でお考えください。
4.建売住宅の購入までの流れ
建売住宅の入居までの流れについてご説明します。おもに10ステップです。
1.資金計画を立てる
建売住宅は土地と建物セットの価格のため、注文住宅よりも資産計画がしやすいところがメリットです。物件価格のほか、契約する際の諸費用やランニングコストを計算し、毎月の返済額はいくらまで支出可能なのか、そのほかの資金はいくら用意できるのかなどの資金計画を立てましょう。
2.物件探し
住みたい場所や家のイメージをまとめたら、物件探しをはじめます。建売住宅は注文住宅と異なり、間取りや設備の仕様は選ぶことができません。完成された(または、これから完成される)物件から自分に合ったものを選びます。
希望条件が多すぎると物件探しにかなり時間がかかってしまうので、優先順位を多くても5つぐらいピックアップしておくと良いでしょう。
3.物件見学
物件の候補があがったら、物件見学をします。希望条件に合っているかしっかりとチェックしましょう。また、気になる点はうやむやにせず、営業担当者に確認することをおすすめします。まあいいか、で進んでしまうと後から後悔するかもしれません。
4.購入申し込みと住宅ローンの事前審査
物件が決まったら、購入の申し込みをします。購入の申し込みは一般的に無料ですが、売主によっては10万円程の申込金を支払う場合があります。また、購入申し込みには法的な拘束力はありませんが、キャンセルはたくさんの人に迷惑がかかります。しっかり考えて申し込みに進みましょう。
そして、購入の申し込みと同時に、住宅ローンの事前審査を行います。住宅ローンには、事前審査と本審査の二段階の審査があり、事前審査は、申込者に住宅ローンの返済能力があるかを判断します。具体的にいうと、勤務年数や年収に対しての返済負担率や、借金の有無、社会的信用力に問題がないかなどを細かくチェックします。
事前審査に必要な書類 ・身分証明書 ・健康保険証 ・収入を証明できるもの(源泉徴収票など) |
5.不動産売買契約
宅地建物取引主任者による「重要事項の説明」を受け、問題がなければいよいよ契約となります。契約の際には手付金(売買代金の5~10%)を支払います。
手付金の目安 | |
完成物件 | 10% |
未完成物件 | 5% |
また、手付金以外にも「仲介手数料」「契約印紙代」なども別途必要です。なお、契約後に買主の都合で契約破棄する場合は、手付金は返却されない場合が多いので注意しましょう。
6.住宅ローン本審査、契約
不動産売買契約が完了したら、住宅ローン本審査を申し込みます。事前審査をおこなったときから金融機関も物件も変更がなければ、本審査に落ちることはほとんどありません。また、住宅ローンでは、火災保険の加入が必須条件になっている場合が多いため、契約までに損保会社選びもしておきましょう。
住宅ローン契約時に確定させる内容は下記のとおりです。
・借入金額 ・金利プラン ・保証料の支払い方※ ・諸費用金額 ・住宅ローンの引き落とし日 |
※住宅ローンを借りる際、保証会社に対して手数料を保証料と呼びます。相場は借入金額の2~3%程です。支払い方法は現金一括で支払う「外枠方式」と借入金利上乗せする「内枠方式」があります。
7.登記の準備
新築一戸建ての場合、行わなければならない登記は4種類あります。
1. 建物表題登記 2. 所有権移転登記 3. 所有権保存登記 4. 抵当権設定登記(住宅ローンを利用する場合は必要) |
自分で登記を行うことも出来ますが、とても手間がかかるため司法書士に依頼することがほとんどです。引き渡しの前に、登記を依頼する司法書士に登記の際に必要な書類を送付しましょう。
8.物件の立ち合い
住宅ローン本審査の承認を得られたらいよいよ引渡しですが、その前に物件の立ち合い(内覧会)があります。汚れや損傷がないかなどを確認します。
立ち合いの際に室内のサイズを測っておけば、家具を購入するときに役立つのでおすすめです。
9.引き渡し
売主、買主、司法書士が住宅ローンを借入する金融機関に集まり、引き渡しの手続きを行います。残代金と諸費用(登記費用・銀行への費用・火災保険料)を支払いが完了した後、司法書士が所有権移転登記の申請を行います。
10.入居
残代金決済後(引き渡し以降)、物件の所有者は買主となります。入居はいつでも可能です。引っ越しの準備をはじめていきましょう。
[2]建売住宅を購入するときの注意点
建売住宅を購入するときは、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
1.優先順位をピックアップしておく
建売住宅は間取りや素材などが決まっているので、注文住宅のように自分の希望通りにはなりません。先述したとおり、「既製品の中から自分の希望に近いものを選ぶ」という感覚に近いものがあります。
そもそも、土地を購入して注文住宅でも建てない限り、何もかも自分の思い通りの家を建てることは難しいでしょう。自分の中で優先したいことは何のか、考えてみてください。優先したいことは、駅からの距離なのか、広さなのか、2階建てが良いのか、庭が大きい家が良いのか、駐車場は2台分欲しいのか、学校から近い場所が良いのかなど、細かく挙げれば山ほどあります。ただ、あまり条件を多くピックアップしても決められないので、多くても3つまでの優先順位を決めておくことをおすすめします。
2.建物ばかりではなく周辺環境も重視する
建売住宅に限らず言えることですが、家は建て替えることができても、周辺環境は変えることはできません。建売住宅を購入する際、建物のクオリティにばかり注視しがちですが、周辺環境に問題がないかもしっかりチェックしましょう。
また、物件を見学するときは不動産会社が車で送迎することがほとんどなので、周辺の環境を見落としがちな方が多いです。必ず自分の足で最寄り駅から現地まで実際に歩いてチェックしてみてください。
現地に見学に行ったときに、チェックするべきポイントは下記のとおりです。
【チェックポイント1】生活に必要な施設は揃っているか? ・買い物:スーパー、コンビニ、ドラッグストア、商店街 ・医療施設:病院、薬局 ・公共施設:銀行、郵便局、役所、学校、保育園、塾 【チェックポイント2】交通環境に不便はないか?
【チェックポイント3】治安は良いか? |
3.どこまで価格に含まれているのかを確認する
物件価格がリーズナブルな建売住宅ですが、物件価格に含まれているものはどこからどこまでなのかをしっかりと確認しておきましょう。
たとえば、網戸やエアコンスリーブなどの設置、外構工事の費用は物件価格に含まれておらず、オプションとして費用を追加請求されるケースもあります。
「物件価格に含まれると思っていたのに、別途費用を請求された」というトラブルは少なくありません。安さに飛びつかず、どこまで物件価格に含まれているのか、価格構成は必ず確認してください。
4.図面や書類がきちんとそろっているかチェック!
引き渡し時には、下記の書類がそろっているか確認しましょう。
【引き渡し時に必要な書類】
・建築確認関係の書類(建築確認申請副本、確認済証、検査済証 ・重要事項に関する書類 ・図面(設計図書、竣工図書、施工写真) ・設備機器類の取扱説明書 ・地盤調査関係 ・住宅性能評価書 ・保証書類 ・残工事に関する書類 ・アフターサービス関する書類 |
5.引渡し前の立会い時は不具合がないかしっかりチェックする
建売住宅でも注文住宅でもマンションでも同じですが、引き渡し前の立合い時は不具合がないかしっかりチェックすることが重要です。
もし不具合が見つかり修繕となった場合、引き渡しまでに対応してもらわなければなりません。立合いの日程は、余裕をもって引き渡し日の10日以上前にしておくと安心でしょう。
立合い時にチェックするべきポイントは、主に下記の3つです。
1.図面通りに仕上がっているか? 収納のサイズ、扉の開き、コンセントの位置など、図面と異なる部分がないか確認しましょう。 2.施工の精度に不具合はないか?
3. ドア、窓、収納の扉などの開閉はスムーズか? |
立会時に専門家に同行してもらう手段もあります。料金は3~6万円ほど要しますが、自分でチェックできるか不安、という方は検討してみてください。