一戸建てを買うときの不動産屋の選び方(前編)
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【目次】
[1]不動産屋を選ぶときのポイント
1.その会社が持つ「得意分野」をチェックする
2.気になる物件があれば直接問い合わせてみる
3.大手と地域密着型の不動産屋、どっちが良いのか
[2]不動産屋に行く時のポイント
1.来店予約してから行く
2.希望条件をまとめておく
3.住宅ローンの事前審査も早めにしておくとさらにベター
[3]内見時の持ち物
[4]内見するときの注意点
1.新築物件の場合
2.中古物件の場合
[5]内見後の注意点
[6]まとめ
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マイホーム購入時に大切なことは「物件探し」のイメージがありますが、実はそれよりも重視してもらいたいのが「不動産屋選び」です。今回の記事は、不動産屋の選び方と不動産屋に行く時のポイント、そして内見前~内見後の注意点や内見時の持ち物について解説します。
[1]不動産屋を選ぶときのポイント
不動産屋を選ぶときは、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
1.その会社が持つ「得意分野」をチェックする
一言で不動産といっても、いくつか種類があります。家を買いたいからとりあえず不動産屋に行っても、あなたが買いたい商品(家)の取り扱いがないかもしれません。
不動産会社の種類とその内容については下記のとおりです。
買いたい家 | 選ぶべき不動産屋 | 内容 |
新築マンション | モデルルーム | マンションの販売業務を行う不動産会社のことをデベロッパー(不動産開発会社)といいます。マンションの販売を自社で行う場合と、販売代理会社を別に持ち、販売業務を委託するケースがあります。
新築マンションを購入する場合、まずは資料請求をし、モデルルームに行きましょう。 |
注文住宅 | 仲介会社で土地を探してもらってからハウスメーカーか工務店へ | 土地を買ってから注文住宅を建てたい場合は、まずは仲介会社に土地を探してもらいましょう。土地+建物の総予算から逆算した「仮の土地予算」で物件を探してくれます。同時進行で好みのハウスメーカーや工務店を探しておくとスムーズに進みます。
ちなみにハウスメーカーと工務店の違いをざっくり説明すると、ハウスメーカーは全国展開されていて仕様が規格化されているのでどの店舗に行っても差はありませんが、家づくりの柔軟性に欠けている面があります。一方、工務店は地域密着型でお客様の要望を聞きながらゼロから家づくりをする楽しさはありますが、会社によって品質に差がある、という面があります。 |
中古マンション
中古一戸建て 新築建売一戸建て |
仲介会社 | 中古物件、建売の新築一戸建ての仲介をしています。扱う物件が土地+戸建のパッケージ価格なので、注文建築よりもローコストでマイホームの購入が可能です。最新の住宅ローン事情にも詳しいため、資金計画の相談にも乗ってくれるメリットもあります。 |
このように、不動産屋はそれぞれ得意分野が違います。会社のホームページなどを見ると、その会社が何を得意としているのか、メインで取り扱っている住宅の種類は何なのかが分かるはずです。不動産屋は自分が買いたい物件の種類にあわせて選んでくださいね。
参考記事:買いたい物件の『種類』で選ぶ!正しい不動産会社の選び方!
2.気になる物件があれば直接問い合わせてみる
SUUMOなどの不動産物件サイトや不動産屋のホームページを見て気になる物件が見つかったら、どんどん問い合わせをしてみましょう。
資料請求をしてからじっくりと検討するのもひとつの手段ですが、人気の物件はあっという間に売れていきます。同じ物件を複数の仲介会社で扱っている場合は、希望しているエリアに強い会社を選ぶと、その物件の他におすすめ物件を紹介してもらえることもあります。とにかく百聞は一見に如かず。問い合わせをしてみて、良いなと思ったら内見させてもらいましょう。
ただ、ひとつ注意していただきたいのは、自分の住宅予算がいくらなのか分からない場合、いざ来店して資産計画を立ててみたら予算オーバーだったという可能性もあります。その場合は住宅予算内の物件を紹介してもらえるはずですのでご安心くださいね。
3.大手と地域密着型の不動産屋、どっちが良いのか
「大手の不動産屋は、物件数が豊富にありそう」そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は大手でも地域密着型の不動産屋でも持っている情報(物件)は同じなのです。
その理由は、国土交通省が義務付けている、ネットワークシステム「レインズ(不動産流通標準情報システム)」に物件情報が網羅されているからです。
物件数が同じなら、大手と地域密着型の不動産屋どちらを選べばよいのか迷いますよね。基本的には希望するエリアに強い会社を選ぶことがベストなのですが、同じエリアに大手と地域密着型の不動産屋どちらもある場合は、それぞれの特徴を理解して選んでみてください。
・大手不動産会社の特徴
1.豊富な取引実績があり、独自のネットワークに基づく中古住宅の情報量が豊富。
2.全国展開している会社が多く、どのエリアの物件でも対応してもらいやすい。
3.マニュアルに基づき社員教育が行われる傾向にあり、標準化された一定以上の対応を望める。
・地域密着型不動産会社の特徴
1.対応エリアは限定されるが、該当地域の情報(未公開物件含む)には精通している。
2.エリア内の価格動向を常に把握し、適正な価格に基づいた売買が可能。
3.営業担当者の裁量権が大きく、柔軟な対応を望める可能性が高い。
[2]不動産屋に行く時のポイント
前項では不動産屋の種類や選び方について解説しましたが、ここからは一戸建てを購入したい方を対象に不動産屋にいくときのポイントをお話したいと思います。
1.来店予約してから行く
不動産屋は基本的に水曜日がお休みのところが多いです。
飛び込みでも対応してくれる会社もありますが、待たされる可能性もあるので(というか、営業マンは基本的に内見などで外出していることが多い)、来店予約を取った方が確実です。
ちなみに、ひとつの不動産屋にしか相談しちゃダメ!という決まりはないので、ここは何か違うな…と感じたらほかの不動産屋に行ってもOKです。ただ、無断キャンセルは迷惑になるので、都合が悪くなったら必ず連絡しましょう。
2.希望条件をまとめておく
来店前に物件の希望条件をピックアップしておきましょう。できれば絶対に譲れない条件を3つまとめておくと良いです。
たとえば、希望エリアや駅からの距離、築年数、間取り、部屋の広さなどです。
あとは重要になってくるのが予算(物件価格)ですが、あらかじめ住宅ローンの事前審査を済ませている場合や、ファイナンシャルプランナーなどに相談して資金計画を立ててもらっている場合は希望している物件価格を伝えてもOKですが、そうではない場合、自分がいくらの家が買えるのか分かりませんよね?
多くの方は「みんな4,000万円ぐらいの家を買ってるし、自分もこのぐらいの家を買えるだろう」と自分の住宅予算をハッキリさせる前に物件を探します。しかし、いざ資金計画を立ててみたら希望する物件価格に手が届かず、探しなおしということはよくあります。
来店時に資金計画を立ててもらってその住宅予算内で条件に合った物件を紹介してもらうのが一番スムーズでムダがありません。
3.住宅ローンの事前審査も早めにしておくとさらにベター
住宅ローンの事前審査は、買いたい物件が見つかったらやるイメージがありますが、実は物件が見つかる前にやっても良いのです。
むしろ、早めに事前審査をやっておけば、買いたい物件が見つかった時にスムーズに本審査へ進めます。人気の物件は本当にすぐに売れてしまうので、早めに事前審査を済ませておけばかなり有利になります。良い物件は早い者勝ち。買うと決めたらみなさん行動が早いですよ。
[3]内見時の持ち物
内見時の持ち物は以下のとおりです。
・希望条件をまとめたメモと筆記用具
希望条件をまとめたメモを確認しながら内見しましょう。気になった点をメモしておけば、内見後に比較するときに役立ちます。
・カメラまたはスマートフォン
内見する際にカメラやスマートフォンなどの撮影できるものを必ず持参しましょう。撮影する箇所は、物件全体、各部屋、その他、気になる箇所です。ただし売主が居住中の場合は、必ず了解を得てから撮影させてもらいましょう。
・方位磁石(スマホなどのアプリでもOK)、メジャー、水平器
方位磁石は、方位を確認するために使用します。スマホのアプリでも構いません。メジャーは部屋の広さなどを測るために使用します。水平器は床の水平を測るもので、ホームセンターに行けば1,000円程度で購入できます。こちらも方位磁石と同様で、スマホのアプリでも代用できます。
・スリッパ
不動産会社が用意してくれる場合が多いですが、今は新型コロナウイルスなどで衛生面が気になる方は、持参しても構いません。
[4]内見するときの注意点
この項目では、内見するときの注意点を新築と中古に分けて解説します。
1.新築物件の場合
新築建物戸建は、未完成の状態で販売開始されることがほとんどなので、実際の住居の内見はできません。その場合、モデルハウスを見学することになりますが、間取りや設備は実際の住居とは異なるということは理解しておきましょう。
新築物件でチェックしておきたいポイントは以下のとおりです。
項目 | チェックポイント |
動線 | 生活動線に問題はないか |
部屋の広さ | 各部屋の広さは充分か |
収納 | 収納は充分か |
キッチンの設備 | キッチンの設備は使いやすいか |
トイレ・浴室 | 浴槽のサイズや機能は充分か |
コンセント | コンセントの配置や数 |
ネットや電話の接続口 | ネットや電話の接続口の位置 |
日当たり・風通し | 各部屋の日当たり、風通しを確認 |
防犯面 | 周辺環境の治安、不審者が侵入しにくい構造か |
さらに、新築一戸建ての場合の場合は下記のポイントをチェックしてください。
項目 | チェックポイント |
オプションの確認 | どこまでが標準でどこからがオプションなのか |
住宅の性能 | 耐久性や防音性は問題ないか(不動産屋に確認) |
防犯性・近隣状況 | 不審者が侵入しやすい位置に窓がないか。住居周辺の治安は良いか |
2.中古物件の場合
中古物件は、実際の住居を内見できます。売主が居住中の場合もあるので、「実際に住んでいる人の声」も聞くことができるのは大きいメリットですね。
中古物件を内見するときのポイントは、建物を柱・壁・屋根等の主要構造体(スケルトン)と内装・建具・設備(インフィル)と分けて見ることです。
スケルトンの部分はぱっと見では状態が分からないので、過去に雨漏りや床下のシロアリ、外壁のヒビ割れなどがなかったか、どのようなメンテナンスをしてきたかなど、必ず確認しましょう。不安な方は、数万円の費用がかかりますが、住宅診断(ホームインスペクション)を依頼するのもおすすめです。
一方、インフィルの部分は古くても壊れていてもスケルトンよりは低コストで修理ができるので、それほど注視しなくても問題ないかと思います。ただし、配管の工事が必要な水回りのリフォームは費用が高くなりやすいので、リフォーム業者などに一緒にチェックしてもらうとよいでしょう。
中古物件でチェックしておきたいポイントは以下のとおりです。
項目 | チェックポイント |
耐震性 | 外壁にひび割れがないか、床の傾きなどはないか |
雨漏りやシロアリ | 雨漏りの痕跡はないか。シロアリの被害はないか |
修繕履歴 | 過去の修繕・増改築の履歴を確認する |
防犯性・近隣状況 | 不審者が侵入しやすい位置に窓がないか。住居周辺の治安は良いかを確認する。 |
すでに不動産屋から物件の紹介をしてもらっている方は、「このエリアで希望条件に近い物件が販売されたら教えて!」と不動産屋に伝えてあります。いわば入荷待ちの状態です。このようなお客様はお住まい探しに対してニュートラルな状態ですので、不動産屋から連絡が入ればすぐに契約をする方も少なくありません。
内見後、「もっと良い物件が出てくるかも…」と迷っている間に売れてしまうケースはとても多いです。そうなると大概の方は「やっぱり最初に見学したあの物件が一番よかった…」と後悔します。逃した魚は大きいです。
マイホーム購入は人生で一番高い買い物で、そう簡単には決められないのも分かりますが、決断はできるだけスピーディーにすることをおすすめします。