住宅ローン控除とすまい給付金の違い
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【目次】
[1]住宅ローン控除とすまい給付金について
1.住宅ローン控除とは
2.すまい給付金とは
[2]住宅ローン控除とすまい給付金の給付金の違い
1.住宅ローン控除の減税額
2.すまい給付金の給付額
[3]住宅ローン控除とすまい給付金の申し込み方法
[4]住宅ローン控除とすまい給付金は併用できるの?
[5]まとめ
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「住宅ローン控除」と「すまい給付金」という制度をご存知でしょうか。
住宅ローン控除なら減税され、すまい給付金制度なら給付金が支給されるので、条件を満たしていればぜひ利用したい制度です。
この記事では、このふたつの制度を利用するにはどのような適用条件があるのか、それぞれいくら還付されるのか、併用は可能なのかなど、詳しく解説します。
[1] 住宅ローン控除とすまい給付金について
まずは、住宅ローン控除とすまい給付金の内容や適用条件についてみていきましょう。
1.住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は、10 年以上の住宅ローンを利用して住宅購入またはリフォームする人を対象とした優遇制度です。
年末時点の住宅ローン残高の1%相当額を所得税から控除し、控除しきれなかった分の税金は翌年の住民税から控除されます。所得税や住民税から控除されるため、年収が多い方のほうが還付金を多く受け取れるという特徴があります。
住宅ローン控除を受けられる条件は下記のとおりです。
住宅ローン控除の対象となる条件 |
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新築・中古共通条件 |
(1)自分自身が居住する住宅であること
住宅ローン控除は、自分自身が居住する家であることが必須のため、投資用の物件や親族の家などには適用されません。
(2)住宅取得の日から6ヵ月以内に居住、その年の12月31日まで継続して居住すること 家の引き渡し、または工事完了後6ヵ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住することと、住民票を移すことが必要です。
(3)床面積が50平方メートル以上であること 床面積が50平方メートル以上の広さがなければなりません。一戸建ては、各階の床面積の合計、マンションの場合は、専有部分の床面積で算出します。
(4)住宅ローンの借入期間が10年以上であること 9年以下の住宅ローンは適用されません。
(5)適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること 1年でも年収が3,000万円を超えた場合、それ以降の年は住宅ローン控除を受けることができません。住宅ローン契約時の年収が3,000万円以上であれば、初年度から控除が受けられないということになります。 |
中古住宅の場合 |
(1)築年数が以下の規定の年数以内であること
・鉄筋造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物…築25年以内
・木造などで建てられた非耐火建築物の場合…築20年以内 (築20年以上の場合は、耐震基準に適合していることを証明する必要があります。耐震基準適合証明書、または耐震等級1以上と認められた既存住宅性能評価書、または、既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要です) |
リフォームの場合 |
(1)工事費100万円以上
リフォームの場合は、工事費が100万円以上の住宅が対象となります。 |
2.すまい給付金とは
すまい給付金とは、住宅購入者の年収に応じて現金を給付される制度のことです。
住宅ローン控除は年収が多い方のほうが還付金を多く受け取れるという特徴がありますが、すまい給付金は、年収が少ない人のほうが給付を多く受け取れるという特徴を持っています。
すまい給付金の支給額は以下のとおりです。
【給付金の額】
年収450万円以下…50万円
年収525万円以下…40万円
年収600万円以下…30万円
年収675万円以下…20万円
年収775万円以下…10万円
すまい給付金の措置を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
(1)年収775万円以下(家族構成によって異なります)
(2)住宅ローンを利用すること(50歳以上かつ年収650万円以下であれば利用しなくても可) (3)自分が住む住居であること (4)床面積が50m2以上であること (5)品質が担保された住宅であること
・新築…住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用 ・中古…不動産会社が売主であること。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入または既存住宅性能表示制度を利用すること。 |
詳しくはすまい給付金のホームページをご確認ください。
[2]住宅ローン控除とすまい給付金の給付金の違い
住宅ローン控除とすまい給付金でどのくらいの得をするのかみていきましょう。
1.住宅ローン控除の減税額
住宅ローン控除が受けられるのは最大400万円(40万円×10年間)です。
たとえば、年末の時点で住宅ローン残高が4,000万円ある場合は「控除率が1%→40万円の税額控除」となります。
納めている所得税額が40万円に満たない場合、その差額分は住民税より控除されます。ただし、所得税の課税総所得金額などの7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となります。
年収600万円を例にシミュレーションしてみましょう。
【設定条件】 年収:600万円 所得税:16万円 住民税:27万円 ローン借入額:4,500万円(金利(全期間固定)1.0%・35年返済) 年末時点でのローン残高:3,904万円 |
控除額の上限:3,904万円×1%=約39万円
所得税額は16万円(A)なので全額控除されます。
控除し切れなかったのは23万円です。これを住民税から控除します。
住民税からの控除上限額は前年課税所得の7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となるため、13万6500円(B)が控除されます。
(A)と(B)を合計した約29万6500円が控除されることになります。
★ポイント★
住宅ローン控除は、住民税から控除される金額を加えても、実際に控除されるのは年末時点でのローン残高の1%よりも少ない金額となります。
所得税や住民税以上の減税を受けることはできないということを理解しておきましょう。
2.すまい給付金の給付額
増税に伴い、給付金の年収上限が510万円以下から775万円以下に拡大され、給付金の最大額が30万円から50万円に増えました。
増税後(消費税10%)の給付金は下記のとおりです。
年収 | 給付金 |
年収450万円以下 | 50万円 |
年収525万円以下 | 40万円 |
年収600万円以下 | 30万円 |
年収675万円以下 | 20万円 |
年収775万円以下 | 10万円 |
※給付金の額は、年収や家族構成によって異なります。
詳細につきましてはすまい給付金のホームページをご確認ください。
[3] 住宅ローン控除とすまい給付金の申請方法
どちらの制度も利用するには申請が必要です。ここでは、申請方法と必要書類についてご説明します。
【住宅ローン控除の申請方法】
住宅ローン控除を利用するには、初年度だけ確定申告が必要です(翌年からは勤務先に住宅ローンの残高証明書を提出すれば年末調整で手続きが完了します)。
【住宅ローン控除の必要書類】
・住民票の写し ・残高証明書 ・登記事項証明書・請負(売買)契約書 ・源泉徴収票 ※中古の場合は3つの内いずれかを用意します。 |
【すまい給付金の申請方法】
すまい給付金の申請方法は、ホームページから給付申請書をダウンロードするか、すまい給付金申請窓口で給付申請書をもらって申請します。給付申請書はすまい給付金事務局に郵送、または全国のすまい給付金申請窓口に持参しましょう。
【すまい給付金の必要書類】
・住民票の写し ・個人住民税の課税証明書 ・建物の登記事項証明書・謄本 ・住宅の不動産売買契約書または工事請負契約書 ・住宅ローンの金銭消費貸借契約書 |
基本的には併用可能です。ただ、併用するにはいくつかの注意点があります。それは、適用条件や必要書類、申請方法が異なることです。
先述したとおり、住宅ローン控除を利用するには確定申告を行う必要があります。一方、すまい給付金を利用するには窓口に直接申請に向かうか、郵送する必要があります。ふたつの制度の併用は可能ですが、それぞれ申請する方法が異なることを理解しておきましょう。