不動産売却は何にいくらかかる?
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【目次】
[1]不動産を売却するときの必要な費用
1.譲渡所得税(所得税・住民税)
2.相続税
3.譲渡所得税(所得税・住民税)
4.相続税
5.譲渡所得税(所得税・住民税)
6.相続税
[2]特例を利用して少しでも手元にお金を残そう
[3]まとめ
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不動産を売却したら、売却した金額がそのまま利益として手元に残るわけではありません。仲介手数料や税金など、様々な諸費用がかかりますので事前にいくらかかるか理解しておく必要があります。
そこで今回の記事は、売却をする際にかかる費用について解説します。
[1] 不動産を売却するときの必要な費用
不動産売却に必要な費用はどのようなものがあるのでしょうか。
1.仲介手数料
不動産を売却する際、自分で買主を探すこともできますが、不動産会社に依頼して仲介業務をしてもらい、買主を探してもらうことが一般的です。
不動産会社は、物件をお預かりしてから成約に至るまで、あらゆる手段で販売活動をしています。物件の広告作成や不動産情報サイトへの掲載、ポスティング、購入希望者に物件案内などの販売活動には、人的コスト・金銭的コストがかかっています。つまり、仲介手数料は不動産会社にとっての成功報酬なのです。
仲介手数料がとても高額で驚いたという方は多いかもしれません。決して安い金額ではありませんが、お客様の物件がいち早く売れるよう最善を尽くしていますのでご理解いただければと思います。
なお、仲介手数料は宅地建物取引業法で以下のように上限が定められています。
売買価格(税込) | 料率(税抜) |
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超400万円以下の部分 | 4% |
400万円超 | 3% |
不動産の売買取引では、200万円を超えることが多いかと思いますので、その場合は下記の速算表をご利用ください。
売買価格(税込) | 計算式 |
200万円超、400万円以下 | 仲介手数料=売買価格×4%+2万円+消費税 |
売買価格が400万円超 | 仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約が成立した時点で50%、引き渡し完了時に残りの50%を支払います。
仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説しています。
仲介手数料とは?「仲介手数料無料」の仕組みについても解説!
2.印紙税
印紙税とは、課税文書に課される税金です。売買契約書に定められた金額の印紙を貼ることで印紙税を納めたとみなされます。
不動産取引の契約は、取引を行う両者が同じ契約書を保持します。印紙代の負担については下記の2つのケースがあります。
1.契約書原本を2部作成し、売主・買主がそれぞれ印紙代を負担 2.契約書原本を1部作成し、原本を保管する方が印紙代を負担 |
不動産売買の契約書には「契約書貼付する収入印紙は、売主・買主が平等に負担するものとする」と記載されており、売主・買主がそれぞれ負担するケースが一般的です。
印紙税の金額は、売買契約書の記載金額(物件の売買価格)によって以下のように決められています。
取引金額 | 不動産売買契約書 |
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超200万円以下 | 1,000円 |
200万円超300万円以下 | 1,000円 |
300万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 160,000円 |
10億超50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
記載金額なし | 200円 |
印紙税については、こちらの記事で詳しく解説しています。
不動産の売買契約書に貼る印紙税について
3.抵当権抹消登記費用
不動産を売却するときには、登記の手続きが必要です。登記の手続きとして「抵当権の抹消」、「所有権の移転登記」を行います。
抵当権とは、対象の不動産に金融機関が設定する権利のことです。簡単にいえば、不動産を融資金の担保として登録する手続きです。住宅ローンを組んで購入した住宅を売却する場合、抵当権を抹消しなければなりません。
次に行わなければならないのが、所有権の移転登記です。所有権の移転登記とは、不動産の所有権を売主から買主へ書き換える手続きです。
そのほかに、登記上の住所と所有者の現住所が違う場合は「住所変更登記」、登記上の所有者の氏名が現在の氏名と相違している場合は「氏名変更登記」も行う必要があります。
これらの手続きは司法書士に依頼することが一般的です。報酬は依頼する事務所によって大きく異なりますが、2~3万円と考えておきましょう。
4.譲渡所得税(売利益が発生した場合)
不動産売却した際、購入価格を上回り利益が出たものを譲渡所得といい、譲渡所得税の課税対象となります。
譲渡所得を計算式で表すと以下のようなります。
売却益(譲渡所得)= 売却価格
売却価格から以下の3つの費用を差し引く ① 物件の購入価格から減価償却費を引いた価格(購入したときの価格) |
上記計算式によって、計算した結果、譲渡所得が売却価格を上回っていれば確定申告を行い、「譲渡所得税」を納める必要があります。
譲渡所得については、こちらの記事で詳しく解説しています。
不動産売却にかかる税金の基礎知識
5.引っ越し費用
引っ越し費用は、時期や荷物の量、転居先の距離によっても異なりますが、4~5人家族であれば15~20万円程度必要と考えておいた方が良いでしょう。
ちなみに、売却後に新居を購入しようとお考えの場合は、仮住まいへの引っ越し費用と、仮住まいから新居への引っ越し費用、合わせて2回分の引っ越し費用が発生することをお忘れなく!
6.その他(解体費やリフォーム、ハウスクリーニング費用など)
売却する物件の状況によっては、リフォームやハウスクリーニングが必要になることもあります。
ハウスクリーニングの相場は5~20万円程度、リフォームの相場は下記にまとめましたので参考にしてください。
リフォームの相場
・クロス張り替え(1㎡あたり)5,000円~20,000円程度 ※水回りのリフォームで設置場所を変更する場合は、配管工事も必要になるケースもあります。その場合は1mの移動ごとに50,000円~100,000円程度が目安となっています。 |
なお、住宅を解体して土地だけ売却する場合は解体費用も必要です。
解体費用の相場は構造によって異なりますが、木造住宅であれば坪3~4万円、鉄骨住宅であれば坪4~5万円、RC住宅であれば坪5~6万円程度とお考えください。
[2] 特例を利用して少しでも手元にお金を残そう
確定申告が必要になりますが、譲渡所得から3,000万円の控除を受けられる特例もあります。
この特例は、売却不動産がマイホームであることなど一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円の控除を受けることができます。控除の適用を受けるためには、以下のマイホームの定義を満たしていることが条件です。
【マイホームの定義】 ・現在マイホームとして住んでいること ・住まなくなった日から3年を経過した日の属する年末までに売却すること ・建物を解体した時は2の範囲内で建物を解体してから1年以内に売買契約を結ぶこと ・単身赴任の場合は配偶者の住む家であること |
参考:国税庁のホームページ(No.3302 マイホームを売ったときの特例)