確定申告をして住宅ローン控除を受けよう!
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【目次】
[1]住宅ローン控除とは
1.住宅ローン控除を受けるための条件
2.住宅ローン控除の対象となるローンの条件
3.住宅ローン控除を受けるための確定申告の手順
4.住宅ローン控除の計算方法
5.確定申告書をする際の必要書類
[2]まとめ
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住宅購入された方、これから購入を考えている方なら知っておきたい住宅ローン控除。一定の条件を満たしていればまとまった金額が返還されます。たとえば、3,000万円の住宅ローン残高の場合なら30万円戻ってきます。これはかなり大きい金額ではありませんか?やらないなんてもったいない! 最初の1年だけ頑張れば、2年目以降はさほど大変な作業はありません。
ということで今回は、住宅ローン控除を受けるための基礎知識と手順について解説します。
[1] 住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、返済期間10年以上の住宅ローンを組んで住宅を取得した場合に、一定要件のもと所得税から還付される制度です。
年末のローン残高の1%を最大控除額とされていて、ローン残高の上限は4,000万円(認定長期優良住宅と認定低炭素住宅は5,000万円)のため、1年間で最大40万円(50万円)還付されます。
1.住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件を満たさなくてはいけません。取得した住宅が、新築か中古かリフォームなのかによって内容が異なります。
【新築住宅の場合の適用条件】
新築住宅の場合の適用条件は以下の通りです。
1 | 減税を受けようとする人自身が、住宅の引渡し日から6ヵ月以内に居住すること |
2 | 特別控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること |
3 | 対象となる住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること |
4 | 対象となる住宅に対して10年以上にわたるローンがあること |
5 | 居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと |
※国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
【中古住宅の場合の適用条件】
新築住宅の適用条件に加え「一定の耐震基準を満たしていること」が条件となります。次の基準のいずれかを満たしていなければいけません。
1 | 住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得していること |
2 | 耐震基準適合証明書を取得していること |
3 | 既存住宅売買瑕疵保険に加入していること |
4 | 築年数が一定年数以下であること(木造の場合は20年以下、耐火建築物の場合は25年以下) |
※国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
【リフォームの適用条件】
新築住宅の適用条件に加えて、次のいずれかの工事に該当していなければいけません。
1 | 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替え(壁・柱・床・はり、屋根または階段のいずれか1つ以上)の工事 |
2 | マンションの専有部分の床、階段または壁の過半についておこなう一定の修繕・模様替えの工事 |
3 | 家屋・マンションの専有部分のうちリビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部についておこなう修繕・模様替えの工事 |
4 | 耐震改修工事(現行の耐震基準への適合) |
5 | 一定のバリアフリー改修工事 |
6 | 一定の省エネ改修工事 |
※国税庁「No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
2.住宅ローン控除の対象となるローンの条件
住宅ローン控除を受けるには、住宅だけではなく、住宅ローンにも適用条件があります。
すべて満たしていなければ対象外ですので、ご自分の組んだ住宅ローンが該当しているか確認してくださいね。
【住宅ローンの適用条件】
1 | 適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること |
2 | 自己居住用の住宅とその敷地取得のための借入れで、一体として借入れられたものであること |
3 | 返済期間が10年以上あること |
4 | 借入れは次の6つのいずれかからのものであること
1.銀行 2.農協・信用金庫・信用組合 3.住宅金融支援機構 4.地方公共団体 5.各種公務員共済組合 6.勤務先(市場金利を換算して定められた0.2%以上の金利、2016年12月31日以前に居住用とした場合は1%以上) ※親族や知人などの個人、親族の会社や自身が役員となっている企業からの借入金は非対象 |
※国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
3.住宅ローン控除を受けるための確定申告の手順
住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必要です。
確定申告の受付期間は、原則として2月16日~3月15日までの1ヵ月間ですが、住宅ローン控除の還付申告は入居の翌年1月1日から可能です。
住宅購入後、住宅ローン控除を受けるまでの流れは以下の通りです。
住宅購入・入居 |
↓
12月 |
勤務先で源泉徴収票を受け取る。 |
↓
1月~2月初旬 |
金融機関から「住宅ローンの年末残高証明書」が届く。 (金融機関によっては前年の10月頃に届く) 登記事項証明書など必要書類を準備する。 |
↓
2月~3月 |
確定申告の手続きを行う(原則2月16日~3月15日) |
↓
約1ヵ月後に指定した金融機関の口座に還付金が振り込まれる |
4.住宅ローン控除の計算方法
ここでは、住宅ローン控除の計算方法を解説します。
住宅ローン控除額は、年末時点での住宅ローンの残高に1%を掛ければ算出できます。
(住宅ローン控除額)=(12月31日時点でのローン残高)×1% |
年末の時点で、住宅ローン残高が2,000万円だとしたら
2,000万円 × 1% = 20万円 |
となりますので、所得税から20万円控除されるということになります。こうしてみるとかなりまとまった金額ですよね。このお金を繰り上げ返済に回しても良いかもしれません。
5.確定申告書をする際の必要書類
初めて住宅ローン控除の適用を受ける際は、確定申告をする必要があります(2年目以降は、会社員であれば年末調整で対応できます)。
入居した年の翌年に、下記の書類を申告書に添付し、居住地(納税地)の税務署長に提出をします。
住宅ローン控除を受ける際は、基本的に以下のような書面が必要です。
【新築住宅の場合】
・確定申告書(会社員は確定申告書A・自営業ならB)
・住宅ローンの残高証明書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・マイナンバーが記載されている本人確認書類
・源泉徴収票
・建物・土地の登記事項証明書
・建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)のコピー
【中古の住宅の場合】
(上記に加え、3つの内いずれかを用意)
・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書
・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
【リフォームの場合】
・確定申告書
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・工事に係る増改築等工事証明書
・家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し
・補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の額を証する書類の写し(補助金や贈与を受けた場合のみ)
・給与所得の源泉徴収票(給与所得者のみ)
2年目以降は、会社員なら会社でおこなう年末調整の際に住宅ローン控除の手続きをすることが可能です。その場合は、税務署から届く書類や住宅ローンの残高証明書などの書類を会社に提出をします。自営業者など源泉徴収制度の対象外の方は、1年目と同様、確定申告の手続きを行います。
[2] まとめ
住宅ローン控除の手続きを初めて行う年は少し大変かもしれませんが、2年目からは年末調整で済むので比較的簡単です。
適用条件を満たしていればまとまった金額が戻ってきますので、やらない手はありません!必要書類を早めに準備をして、不明点があれば税務署に相談するなどして、余裕を持って住宅ローン控除の手続きをしましょう!