借地権のメリットデメリット【どんな人に向いている?】
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【目次】
[1]借地権の種類
[2]借地権つきの物件は売却できる?
[3]借地権のメリット
[4]借地権のデメリット
[5]借地権つきの物件はこんな人におすすめ
1.拠点を転々としたい人
2.初期費用を軽減したい人
[6]まとめ
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借地権とは、地主に地代を払って土地を借りる権利のことをいいます。借地といっても何十年も住むことになるため、一般的な所有権物件と変わらないと思われる方が多いかもしれません。ほかにも、土地の固定資産税がかからない点や、都心の23区内に安い初期費用で住める点など、一見するとメリットが多い様にも感じます。
しかし、どんなものにもデメリットは付きもの。この記事では借地権のメリットデメリット、どんな方に借地権が向いているのかなどを解説します。
[1] 借地権の種類
借地権は、厳密にいうと土地賃借権と地上権の2つに分類されますが、日本国内の借地権の多くは土地賃借権です。
さらに細かくいうと、借地権には普通借地権と定期借地権の2つがあります。
◎普通借地権と定期借地権の違い
項目 | 普通借地権 | 定期借地権 |
契約期間 | 30年以上 | 50年以上 |
更新 | 初回20年以上
2回目以降は10年以上 |
更新なし
(更地にして返還) |
大きな違いとしては、定期借地権には更新がないということ。普通借地権の契約期間当初30年以上で契約しますが、契約更新を前提とした契約であるため、地主は正当な理由がなければ契約を更新する義務があります。ただし、地主の承諾なしに再建築した場合、地主も解約を申し入れることが可能です。つまり「建物が存在する限りは住み続ける」ことを前提としているため、火災や老朽化によって住み続けられなくなった場合は、借主から地主に解約を申し入れることもできます。
ちなみに、1992年(平成4年)8月より前に土地を借りている場合は「借地法(旧法)」です。木造の場合、契約期間は30年(最低20年)で更新後は20年。鉄筋コンクリートの場合は60年(最低30年)で更新後は30年となっています。
[2] 定期借地権つきの物件は売却できる?
売却は原則可能ですが、地主の承諾が必要になります。なぜなら建物と一緒に借地権も譲渡することになるためです。
売却すると同時に借地権も付いてくることになり、借地権は地主との契約で成立します。売却の際の流れとしては、まずは地主に借地権譲渡承諾書をお願いします。このとき、契約内容によっては譲渡承諾料(名義書換料)が必要になるケースもあります。契約前にきちんと説明を受けておきましょう。
[3] 借地権のメリット
借地権のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
1. 所有権の物件よりも価格が安い
2. 土地の不動産取得税や都市計画税がかからない |
ひとつずつみていきましょう。
1.所有権の物件よりも価格が安い
借地権付きの物件は土地を購入する訳ではないので、所有権の物件よりも価格が安い傾向があります。ただし、月に数万円ほどの地代を支払わなければならないため、総合的な支出に関しては物件価格や住む期間によって異なります。
2.土地の不動産取得税や都市計画税がかからない
建物の固定資産税は納める必要がありますが、土地の所有権が地主にあるため、不動産取得税や都市計画税はかかりません。
[4] 借地権のデメリット
どのようなことにもデメリットはあります。定期借地権のデメリットは、以下の点が挙げられます。
1. 中途解約は原則不可
2. 住宅ローンの審査が厳しいことがある 3. 土地の金額が上昇すれば地代も上がる |
ひとつずつみていきましょう。
1.中途解約は原則不可
いずれの借地権であっても、法律により借地権の契約期間が定まっています。また、借地権は相続できるため、借主が死亡した場合にもその相続人に契約期間が引き継がれます。もし契約期間を満了する前に借主が解約を申し出た場合、地主が応じる義務はありません。地主としては、長期的に地代を徴収して収益をあげることを当てにしているため、中途解約されてもそう簡単には応じられません。
2.住宅ローンの審査が厳しいことがある
住宅ローンは、物件を担保にして買主にお金を貸すという仕組みのため、金融機関によっては借地権つき物件の住宅ローンの審査が厳しくなる場合があります。(フラット35は一定の要件を満たせば通ることもあります)不動産会社が金融機関を紹介してくれるはずですので、相談してみてください。
3.土地の金額が上昇すれば地代も上がる
土地の金額が上がれば、当然地代も上がります。特に人気エリアは今後土地の金額が上がる可能性がありますので、そういったリスクも考慮しておきましょう。
[5] 借地権つきの物件はこんな人におすすめ
借地権つきの物件はどのような方に向いているのでしょうか。
1.住宅にかかる費用を安く抑えたい人
先述したとおり、借地権は月々の地代や建物の固定資産税は納める必要がありますが、不動産取得税や都市計画税はかかりません。
拠点を転々としたい方、いつかは海外に移住したい方、住宅にかかる費用を極力抑えたい方に向いているといえます。ただ、月々の地代の支払いは必要ですし、土地代が上がれば当然地代も上がります。総合的なコストが圧倒的に安い!と断言するのは難しいところです。
2.理想の立地を安く手に入れたい人
都内23区では借地権付きの物件が多く、所有権物件よりも安い価格であることがほとんどです。
「いつか住んでみたい」という憧れの立地に家を持つことができるかもしれません。しかも価格も安いのであれば、賃貸で住むよりもメリットが多いかもしれませんね。