住宅ローンの種類について詳しく知りたい!
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【目次】
[1]住宅ローンの種類は2種類
1.公的ローン
2.民間ローン
[2]共働き夫婦のローンの組み方
1.ペアローンと収入合算
[3]まとめ
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買いたい物件が決まったら、住宅ローンの準備期間はおよそ1週間です。たった1週間でどの住宅ローンがよいのか選ばなければなりません。大概の方は「なんとなくメガバンクが安心」「面倒くさいから勧められたローンでいいや」と流されるまま決めてしまいます。それで問題なく返済ができて生活に困らないならよいですが、こんなはずじゃなかった!と後悔する方もいらっしゃいます。そうならないためには、物件探しの前に住宅ローンの知識を身に付けておくことは非常に重要なのです。
そこで今回は、住宅ローンの基礎知識として、ローンの種類について解説したいと思います。
[1] 住宅ローンの種類は2種類
住宅ローンの借入先は、大きく分けると「公的ローン」と「民間ローン」の2つに分類されます。
公的ローン | 民間ローン | |
審査 | 比較的ゆるい | 比較的厳しい |
勤続年数 | 規定なし | 2〜3年以上 |
年収 | 規定なし | 200〜400万円以上 |
ローンの取引履歴 | 民間ほど重視しない
(直近3ヶ月の間に延滞があると不可) |
非常に重視する
(過去2年間に2回以上の延滞があると不可) |
選択金利 | 全期間固定(フラット35)
期間選択型固定金利(財形住宅融資) |
変動金利
全期間固定金利 期間選択型固定金利 ミックス型 |
借入限度額 | フラット35:8,000万円
財形住宅融資:4,000万円 |
最大1億円 |
年齢制限 | 66歳(財形住宅融資)
70歳(フラット35) |
65歳 |
団信の加入 | 任意 | 加入 |
物件の技術基準の審査 | あり | なし |
次項では、それぞれどのような種類や特徴があるのか説明します。
1.公的ローン
公的ローンには、大きく分けて「財形住宅融資」「自治体融資」「フラット35」の3種類があります。
【財形住宅融資】
財形住宅融資は、ネット銀行なみに金利が安い場合があります。ただ、利用するために下記のような一定の条件を満たす必要があります。
条件1 | 財形貯蓄している人
・一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄のいずれかを1年以上継続している ・申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れをしている ・申込日における財形貯蓄の残高が50万円以上ある |
条件2 | 年収と借入額の条件が合う人
・年収に占めるすべての借り入れ(住宅ローン・自動車ローン・教育ローン・カードローン・クレジットカードなど)の年間合計返済額の割合(※総返済負担率基準)が以下の基準を満たしている |
※総返済負担率
年収400万未満…30%以下
年収400万以上…35%以下
【自治体融資】
自治体融資とは、都道府県、特別区・市町村などが住民支援・勤労者支援の一環として実施している融資制度のことです。町おこしなどを目的として、独自の公的ローンを提供している自治体もあります。自治体が直接お金を貸す場合や、民間の金融機関と提携して利子分を補填する場合などがあり、金利や借入れ条件なども自治体によって異なります。融資を希望する方と自治体の取次ぎを行う共同組合などもあります。
【フラット35】
フラット35の最大の特徴は、最長35年間金利が固定型であること。審査の基準は民間ローンよりも厳しくないほか、年収による制限がなく、団体信用生命保険(団信)への加入も任意という特徴を持っています。また、購入する住宅が、省エネ性能・耐震性・バリアフリー性・耐久性などの性能基準を満たせば、金利の引き下げが受けられる「フラット35S」を利用することも可能です。
※フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱っている住宅ローンです。公的融資・民間融資のどちらにも分けられますが、この記事では公的ローンとして説明しました。
2.民間ローン
民間ローンは「民間融資」「提携融資」「社内融資」の3種類に分類されます。
【民間融資】
民間融資とは、メガバンクなどの金融機関、信用金庫、住宅ローン専門会社、保険会社といった民間企業が融資する民間ローンです。金利や特色はそれぞれ異なり、独自のキャンペーンなどを行っていることもあります
【提携融資(提携ローン)】
不動産会社やハウスメーカーが金融機関と提携し、物件購入者に融資する民間ローンです。住宅を購入する際、不動産会社から勧められる住宅ローンがこれに当たります。引き渡し日などのスケジュールの管理がききやすい、手続きを不動産会社がすべて代行してくれるなどの利便性がメリットですが、希望する金利タイプや期間が選択できない場合があります。
【社内融資】
社内融資とは、企業が福利厚生の一環として社員に提供している住宅ローンです。審査基準が比較的ゆるやかな点がメリットですが、退職した際に借りたお金を一括返済しなければならないため注意が必要です。
[2] 共働き夫婦のローンの組み方
共働き夫婦が増えたことにより、夫単独で住宅ローンを組まないケースも増えてきました。この項目では、共働き夫婦向けの住宅ローンの組み方を紹介します。ただ、住宅ローンという特性上、「おすすめ」というのはできません。どの組み方が合っているのかは人それぞれですので、詳しく知りたい方は金融機関または不動産会社にご相談ください。
1.ペアローンと収入合算
「ペアローン」とは、夫婦それぞれが住宅ローンを組み、お互いに連帯保証人になる方法です。「収入合算」は、ひとつの住宅ローンで、夫婦どちらかの収入を合算して借入可能額を増やす方法です。
表で見た方が分かりやすいと思いますので、まずは下記の表をご覧ください。
収入合算 | ペアローン | ||
連帯保証 | 連帯債務 | ||
夫 | 主債務者 | 主債務者 | 主債務者+妻の連帯保証人 |
妻 | 連帯保証人 | 連帯債務者 | 主債務者+夫の連帯保証人 |
住宅ローン控除 | 主債務者のみ | 夫も妻も利用OK | |
団体信用生命保険 | 主債務者のみ | 夫も妻も加入OK | |
ローン事務手数料 | 1回分 | 2回分 | |
住宅ローン借り換え | 主債務者のみ審査 | 夫婦で審査 |
共通したメリットとしては、借入金額を増やせること。デメリットは、収入や病気による影響を受けやすいことです。夫婦どちらかが退職や病気などで返済ができなくなった場合、残ったひとりの収入で返済をしなければなりません。
ペアローンと収入合算のメリットデメリットをまとめると
◎ペアローン
メリット…住宅ローン控除が夫婦それぞれに適用される
デメリット…住宅ローンの事務手数料が2倍かかる
◎収入合算
メリット…住宅ローンの事務手数料が1回分
デメリット…連帯保証人は住宅ローン控除対象外、団体信用生命保険も加入しない
どちらの方法も、借入金額を増やせるのは魅力的ですが、“夫婦どちらもこれからずっと働き続けることが前提”の住宅ローンです。ローンを組むときは若くて健康であっても、この先もそうであるとは限りません。長期的な資産計画をしっかり立ててから夫婦でのローンを組むようにしましょう。
[4] まとめ
選ぶローンによっては金利が低いもの、審査が厳しいもの、年収や勤続年数の規定の有無など、それぞれに特徴があります。
細かい話になるので混乱する方も多いかと思いますが、どの住宅ローンを選ぶかで月々の返済額も選べる物件も変わってくるかもしれません。お住まい探しの前には、資産計画とあわせて住宅ローンをどれにするかも考えてみてくださいね。